研究課題/領域番号 |
16H04967
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
良永 知義 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (20345185)
|
研究分担者 |
伊藤 直樹 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (30502736)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | Perkinsus / 原虫 / 防疫 / アサリ / アワビ / ホタテガイ |
研究実績の概要 |
日本に侵入すると大きな被害をもたらす可能性のあるオーストラリア産のアワビに寄生するPerkinsus olseni(アワビ型)とカナダのホタテカイに寄生するP. qugwadiについて、侵入のリスク評価、侵入防止のための輸入防疫、侵入した場合のまん延防止に必要な基礎的知見の収集を目的として研究を行った。 Perkinisus属の虫体の代表としてP. olseniアサリ型の栄養体、遊走子嚢、遊走子に対して紫外線殺菌、塩素殺菌による消毒条件を明らかにした。その結果、栄養体、遊走子嚢は塩素消毒が有効であり、遊走子は紫外線消毒が有効であった。 アサリ型1株の培養株とアワビ株1株を用いて、国内のアサリ、エゾアワビ、トコブシに対する感染実験法を開発し、感染実験を行った結果、どちらの株もアサリには侵入し体内で増殖するもののの、アワビ類では侵入はしても増殖はほとんどしなかった。 P. olseniアサリ型1株について、全ゲノムシークエンスを行ってドラフトゲノム配列を決定した。これを参照配列としてアワビ型のゲノムをマッピングしたが、差異が大きく、これらの株の遺伝子型の識別するに適した標的配列の探索はないしていない。 カナダ産P. qugwadiの培養株を得るため、カナダブリティッシュコロンビア島の周辺の養殖ホタテカイにおける感染状況調査を行ったが、感染した貝は得られなかった。そこで、感染貝の入手を目的に、かつて感染したことが知られている海域にホタテガイ種苗を垂下した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Perkinsus olseniアワビ型とアサリ型が予想に反して、遺伝子に差があり、アサリ型の配列にアワビ型の遺伝子をマッピングするという手法は困難だと思われる。方法の再検討が必要と思われる。また、カナダのホタテガイにP. qugwadi感染がみられず、P. qugwadiの培養株作出に至っていない。
|
今後の研究の推進方策 |
P. olseni遺伝子については、アサリ型については、株数を増やしてアサリ型内での比較を行い、株間での違いを検討する。また、アワビ株については、すでにアワビ株のゲノム解析を始めているオーストラリアのグループとコンタクトをとり、アサリ型アワビ型のゲノムを直接比較する予定である。 P. qugwaiについては、かつて感染海域であったところにホタテカイ種苗を垂下し、感染が生じることを待つこととした。
|