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2016 年度 実績報告書

ウイルス耐病性責任遺伝子を用いた天然魚における遺伝子選抜育種技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16H04970
研究機関東京海洋大学

研究代表者

坂本 崇  東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (40313390)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワードヒラメ / リンホシスチス / 耐病性 / ゲノム / 育種 / 遺伝子 / 養殖 / 選抜
研究実績の概要

(実験項目1)天然魚(ヒラメ稚魚)を用いたリンホシスチス耐病性遺伝子候補の相関解析
京都大学舞鶴水産実験所において天然魚(ヒラメ稚魚)をおよそ500-600尾採捕した。これらの魚のうち、5cm以上の比較的大型の稚魚を約50尾、5cm以下の小型の稚魚約100尾を感染実験に供試した。感染実験初期に、小型の稚魚で無摂餌による死亡と考えられる個体や採捕時のスレや他疾病による影響と考えられる死亡個体があり、最終的に半数程度の感染実験となった。生残魚の中でリンホシスチス病発症の有無を解析した結果、未発症個体は1尾で、症状が極僅かの個体が3尾だった。これらの個体とリンホシスチス耐病性候補遺伝子のSNPを解析したが、耐病性との関連性は見られなかった。

(実験項目2)リンホシスチス耐病性形質の候補責任遺伝子を用いて選抜された天然親魚の次世代集団を用いた連鎖解析
(2-1)リンホシスチス耐病性形質の候補責任遺伝子を用いた天然親魚の選抜
候補責任遺伝子の機能ドメイン内に存在する耐病性系統と感受性系統との差異(SNP)について、神奈川県水産技術センターと千葉県水産総合研究センターが保有するヒラメ天然親魚を用いて、耐病性系統と同一の配列を保有する個体を探索した。また、神奈川県内で水揚げされる活ヒラメを購入し、耐病性系統と同一の配列を保有する個体を探索した。神奈川県水産技術センターおよび千葉県水産総合研究センターが保有するヒラメ天然親魚において、それぞれ1尾と2尾がリンホシスチス耐病性候補遺伝子の該当SNPを保持することが明らかとなった。神奈川県内で水揚げされる活ヒラメを購入し、耐病性系統と同一の配列を保有する個体を探索したが、該当する個体は得られなかった。リンホシスチス耐病性候補遺伝子の該当SNPを保持する個体から次世代を作出するため、飼育を継続している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(実験項目1)天然魚(ヒラメ稚魚)を用いたリンホシスチス耐病性遺伝子候補の相関解析
天然魚(ヒラメ稚魚)を採捕し、採捕したヒラメ稚魚を用いて感染実験および関連解析を実施したことから、研究の進捗はおおむね順調に進展していると判断した。今回の解析では、関連性が得られなかったが、感染実験初期の減耗によるサンプル数の減少、および他疾病の影響の可能性を考慮し、再度実験を行うことで、より正確な評価ができると考えれる。

(実験項目2)リンホシスチス耐病性形質の候補責任遺伝子を用いて選抜された天然親魚の次世代集団を用いた連鎖解析
(2-1)リンホシスチス耐病性形質の候補責任遺伝子を用いた天然親魚の選抜
すでに大型となり、種苗生産に用いられるヒラメ天然親魚を用いて、耐病性系統と同一の配列を保有する個体を探索し、リンホシスチス耐病性候補遺伝子の該当SNPを保持する個体が得られたことは、非常に大きな進展であると考えている。それらの個体から、次世代を作出するための飼育を継続してることから、順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

(実験項目1)天然魚(ヒラメ稚魚)を用いたリンホシスチス耐病性遺伝子候補の相関解析
採捕した天然魚の人為感染実験は、他に例はなく、年間で採捕できる時期は限られるため、天候や海況によってサンプル数が十分に確保できない可能性がある。昨年度のサンプル数も少なく、感染実験初期の減耗による影響でさらに少ない状況となった。本年度も、ヒラメ稚魚を用いたリンホシスチス耐病性遺伝子候補の相関解析は継続する。昨年度に採捕されたヒラメ稚魚の中で、およそ3cm以下の極小型個体はサイズの問題から感染実験に供試しなかった。そこで今年度は、感染実験初期の減耗も考慮し、採捕されたヒラメ稚魚を感染実験が実施できるサイズ(5cm以上)まで一時的に飼育する。また、一時的な飼育期間中に、リンホシスチス耐病性候補遺伝子の該当SNPによる選抜を行い、その後に感染実験を実施する予定である。

(実験項目2)リンホシスチス耐病性形質の候補責任遺伝子を用いて選抜された天然親魚の次世代集団を用いた連鎖解析
(2-1)リンホシスチス耐病性形質の候補責任遺伝子を用いた天然親魚の選抜・・・活ヒラメを購入し、リンホシスチス耐病性候補遺伝子の該当SNPを保持する個体の探索を継続する。候補個体については、次世代集団を用いた全ゲノムリシーケンス解析による一塩基多型データを用いて、その個体がこれまで市販されている耐病性系統とは異なる遺伝的背景を有することを主成分分析法によって確認する。候補責任遺伝子の目的とする配列差異を有し、かつこれまで市販されている耐病性系統とは異なる遺伝的背景を有することが明らかになった個体は、飼育管理し、次世代作出用親魚として利用する。
(2-2)遺伝子選抜された天然魚からの次世代集団の作出・・・次世代作出用親魚は受性系統と交配し、解析家系を作出する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] The genome and transcriptome of Japanese flounder provide insights into flatfish asymmetry.2017

    • 著者名/発表者名
      C. Shao et al.,
    • 雑誌名

      Nature Genetics.

      巻: 49 (1) ページ: 119-127.

    • DOI

      doi:10.1038/ng.3732

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 養殖魚類における遺伝情報を活用した育種研究の現状と展望2016

    • 著者名/発表者名
      坂本 崇
    • 学会等名
      第14回 種苗生産技術交流会
    • 発表場所
      広島県尾道市
    • 年月日
      2016-08-09 – 2016-08-10
    • 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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