研究課題
2018年の6月下旬から7月上旬にかけて、ガラパゴス諸島の周辺海域においてアカシュモクザメの調査を実施した。延縄を仕掛けて計3匹のアカシュモクザメを捕獲し、背びれに記録計を取り付けて放流した。そのうち1匹のサメからは、記録計が予定通りタイマー(一日半)で切り離され、海面に浮上してきた。電波信号を頼りにそれを探し出し、回収することができたが、データを確認すると、そのサメは放流直後に弱って海底に沈み、そのまま死亡していたことがわかった。残りの2匹のサメに取り付けた記録計は、何かトラブルがあったようで、一向に海面に浮上してこず、回収することができなかった。2018年8月にカナダ北極域のポンドインレット周辺海域にて、ニシオンデンザメの調査を実施した。延縄を仕掛け、計10匹のニシオンデンザメを捕獲し、記録計を取り付けて放流した。すべての記録計が予定通り、2~3日後にタイマーで切り離されて浮上し、電波信号を頼りに回収することができた。現在、得られたデータの解析を進めている。筆頭著者として、ホホジロザメの生態に関する論文を2篇完成させ、国際学術誌に投稿した。1篇はホホジロザメの遊泳スピードや潜水パターンを分析し、エネルギーの観点からサメの生存戦略を論じたものである。Journal of Experimental Biology誌に受理され、出版された。もう1篇はホホジロザメが大きな獲物(オットセイ)を追いかける際の動きを分析し、捕食戦略を論じたものである。Marine Ecology Progress Series誌に受理された。また同じく筆頭著者として、メガマウスザメの分布域、出現パターンの季節変化、体の大きさ、性成熟する体の大きさなどをレビューして論文にまとめた。Journal of Fish Biology誌に投稿し、受理された。さらに共著者としても、ニシオンデンザメやホホジロザメなどの論文を複数発表した。
1: 当初の計画以上に進展している
さまざまな水温帯に生息するサメ類から詳細な行動データを得ることができ、その解析も進んでいる。これまでに筆頭著者および共著者として、当初の予定よりも多くの論文を国際学術誌に発表することができた。それに加え、研究内容やその意義を平易な言葉で説明した一般向けの著作も出版することができた。そのため(1)「当初の計画以上に進展している」と判断した。
当初の予定通り研究を遂行していく。さまざまなサメ類から詳細な行動データを取得し、それぞれの種がどのような水温帯を好み、また鉛直方向の移動にともなう経験水温の変化に対してどのように反応しているのかを明らかにする。それとともに、今までに得られたデータの解析を進め、論文を執筆し、ひとつひとつ国際学術誌に投稿していく。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 10件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)
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