動物に小型の記録計を取り付けるバイオロギングの手法を用いて、外洋性大型魚類の行動や生理と水温および体温との関わりについて、新たな知見を得た。水温よりも体温を高く保つ内温性のホホジロザメは、内温性のメリット(高い運動能力)とデメリット(高いエネルギー消費量)の両方を示した。外温性のヨシキリザメは、大きな体に起因する高い熱の慣性力を利用し、深い潜水を繰り返すことで、体温の変動幅を水温の変動幅の半分程度に抑えていた。また、様々な大型魚類において、体温の上昇速度は下降速度よりも速かった。大型魚類の体温は水温によって自動的に決まるのではなく、ある程度生理的に調整されていることが示された。
|