研究課題/領域番号 |
16H04975
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
沖野 龍文 北海道大学, 地球環境科学研究院, 教授 (30280910)
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研究分担者 |
野方 靖行 一般財団法人電力中央研究所, 環境科学研究所, 上席研究員 (10371535)
梅澤 大樹 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (20503618)
森本 善樹 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (90244631)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | フジツボ / ソゾ / 生合成 / 付着阻害 / 着生 / ブロモペルオキシダーゼ |
研究実績の概要 |
含ハロゲントリテルペノイドを生産する紅藻マギレソゾに含まれるハロゲン化酵素の性状解明を目指した.まず,合成した推定生合成前駆体のスクワレンテトラエポキシド,紅藻に含まれるトリテルペノイド類の同時分析方法を種々検討した結果,APCIのイオン源を用いるLC/MSによる方法を確立した.次にマギレソゾのバナジウム依存型ブロモペルオキシダーゼであるLsVBPO2の大腸菌による組み換え酵素の精製方法を種々検討した結果,これまでより高活性の酵素を安定的に精製することに成功した.以上をもとにスクワレンテトラエポキシドをLsVBPO2との反応に供し,LC/MSによる分析を行ったところ,臭素化された化合物2種と酸化のみ進んだ化合物1種が得られた.生成物の大量分取を試みたが,NMRで構造を同定するのに十分な量は得られなかった.そこで,反応条件を詳細に検討した.その結果,pHを6.0から7.5に変えることで反応率が2.3倍に上昇した.溶液の組成を変更して2倍に反応効率を増加させた.さらに,酵素濃度をあげるとそれに応じて反応が進んだ.さらに,以前は反応の容量を大きくすると反応効率が下がっていたが,その他の条件を最適化した上で,反応容量を大きくすると,それに応じて反応が進んだ.また,これまでは反応時間が長すぎることもわかった.以上のことから,大スケールの反応を実施するための条件が整った. 別種のソゾが生産する臭素を含むオマエザレンを付着阻害物質として報告しているが,活性機構解明を目指して各種類縁体,構造の一部を除いたもの,蛍光官能基を結合させた化合物などを合成して,付着阻害活性を評価した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終年度において,マギレソゾのバナジウム依存型ブロモペルオキシダーゼの反応産物を明らかにできる準備が十分整ったため.
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今後の研究の推進方策 |
マギレソゾのバナジウム依存型ブロモペルオキシダーゼの反応産物を明らかにして,ブロモペルオキシダーゼの天然物生合成における役割を示す論文発表を行う予定である.また,計画に沿って,これまで得られた付着阻害物質の類縁体合成,およびラン藻の新規ハロゲン化合物の構造決定を進める.
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