研究実績の概要 |
1.ホタテガイの頭部・足部神経節のpyGnRH発現量は雌雄ともに生殖巣発達初期に高く、その後顕著に減少した。一方、内臓神経節では雌雄ともに性成熟と同調した消長を示し、中枢神経による発現パターンの相違が認められた。 2.トランスクリプトームライブラリーからホタテガイのステロイドホルモン生合成関連酵素候補遺伝子としてcyp17a1, hsd17b8, hsd17b10, hsd17b11, hsd17b14, hsd3b1, hsd3b2, srd5a1, star3 , star9 の10遺伝子を単離できた。生殖周期との関連性を継続解析している。 3.本研究で同定したウバガイ、イガイ、アサリ、マシジミに加え、既知のその他の二枚貝GnRHの推定アミノ酸配列も加えた解析によって、ペプチド領域の高い保存性が認められた。アミノ酸配列の詳細な比較から、アカガイグループ、カキ・ホタテガイグループ、アサリ・ウバガイグループの3つに大別されることがわかった。この分類は分子系統樹解析の結果によっても支持された。 4.性分化後の雌雄判別した成長期のホタテガイの性表現系の観察から、少なくとも正常な環境条件ではホタテガイの性は、マガキのように年によって性転換することなく、性成熟は年を越えて同一の性を維持していることが明らかになった。性の継承性を前提にpyGnRH11aa(C末端Pro-NH2)とpyGnRH12aa(C末端Gly-OH)の徐放投与の性表現型への影響を検討する。 5.トランスクリプトームデータベースからpyGnRH受容体cDNAに加え、ホタテガイAKH受容体cDNAと3種のマガキGnRH受容体cDNA3種の単離に成功した。
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