研究課題
本研究課題は、1系(ゲノム編集の利用をめぐるガバナンス形成上の課題抽出)と2系(地域・産業特性を考慮した参加型手法の設計と実践)に分かれる。平成30年度の結果概要は以下の通りである。1系においては、ゲノム編集技術の利用をめぐる関係ステークホルダーに対してインタビューを行うと共に、一般消費者に対して再度ウェブアンケート調査(約4,000名)を実施し、植物と動物への適用に対する意見の相違について検討した。総じて同じ形質(病気への抵抗性、食味の向上、栄養成分の改善、大きさを変更する)を導入する場合においても、植物以上に動物(家畜)への適用に対して懸念が増大する傾向がみられた。とくに動物の体を増大させるゲノム編集技術の応用に対しては、相対的に反対が大きいことが明らかになった。これらの結果に関しては、国内外の学会などで公表する準備を進めている。2系においては、参加型手法に関する研究動向をふまえつつ、地域・産業特性を考慮した参加型手法の設計と実践を行うことが目的である。平成30年度においては、前年度末に実施した北海道在住の消費者を対象としたグループインタビューの結果を解析し、ブックレットとしてとりまとめ結果を公刊した(三上直之・立川雅司著『「ゲノム編集作物」を話し合う』ひつじ書房、2019年)。結果において特徴的な論点としては、遺伝子を操作するという点では、ゲノム編集技術も遺伝子組換え技術もそれほど大きな違いはないと認識されている点、リスクも大きいがベネフィットも大きい技術と期待されている点、ゲノム編集作物に由来した食品に対して選択できるよう「表示」を望む意見が多く聞かれた点、長期的な観点から安全性に対して担保されることを希望している点などがあげられる。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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週刊エコノミスト(2019年1月22日号)
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