研究課題/領域番号 |
16H05003
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
東城 清秀 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40155495)
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研究分担者 |
帖佐 直 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10355597)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | メタン発酵消化液 / 微生物電池 / プロピオン酸 / バイオフィルム / アノード電極 / クーロン効率 |
研究実績の概要 |
主に、微生物電池を用いたメタン発酵液内の有機酸の制御法について、検討を進めた。アノード電極に形成されるバイオフィルムが微生物電池の電子回収性能と有機酸消費に影響を及ぼすと考えられることから、異なる2形式の電極を供試して、その特性について検討した。 試作した電極は(1)炭素をコーティングしたスポンジと(2)活性炭を直径1.00~2.36 mmの小球に成形したものである。平成29年度は、有機酸の中でもプロピオン酸を特異的に発電基質とする微生物電池の開発に焦点を当てた。プロピオン酸による馴養方法がアノード電極のバイオフィルム形成と基質の消費特性、さらに発電性能に関係していることに着目し、2方法を比較した。微生物源は東京農工大学FM府中の水田より採取した泥漿で、0.25mmの目篩を通過させたものを供試した。 試作した微生物電池はエアカソードの1槽式でリアクタは内径32 mm, 長さ42 mmの円筒状で容積33mLである。プロピオン酸濃度を1.2mMずつ10日間上昇させて馴養するA処方と最初から12mMの一定濃度で馴養するB処方を比較した。B処方では、馴養初期で基質として投入したプロピオン酸が消費されず残存し、一部は酢酸として残る割合が高かったが、徐々に残存する有機酸濃度は低下した。A処方では、馴養初期段階では有機酸は検出されず、ほぼ消費された。一方で、微生物電池の発電量はA処方に比べてB処方の発電量が多く、クーロン効率でもB処方が高かった。これらのことは馴養後期で顕著であった。 バイオフィルムの初期馴養法によって、プロピオン酸の消費特性と発電特性が異なることが確認された。いずれの馴養法においてもクーロン効率の改善が課題として残されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
微生物電池を介したメタン発酵消化液中の有機酸の制御について、酢酸及びプロピオン酸を対象とする手法は目途が立ったものの、その他の有機酸については未検討である。
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今後の研究の推進方策 |
実際の有機物を原料とするメタン発酵消化液における有機酸の成分や濃度を実測し、それらを対象とした制御手法について検討を進める。研究協力者を増員し、検討内容を細分化して研究を進めることで改善を図る。
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