研究課題
ウシの受胎率の低下は、微弱発情や無発情などの発情行動の異常に起因する。本研究では、発情行動誘起に重要なエストロジェン(E)の受容体(ER)発現をコンディショナルにノックアウトできる遺伝子改変ヤギを、ゲノム編集技術を活用して作出する。この動物を実験モデルに、反芻家畜の発情行動を制御する神経機構の局在を同定し、その分子メカニズムを解明することを目的とする。本年度は、発情行動を任意のタイミングで誘起するため、卵巣除去ヤギにプロジェステロンおよびEを処置して発情行動を誘起するプログラムを構築し、発情行動特異的な指標(行動量、発声、尾振り、交尾行動など)の定量と、血中黄体形成ホルモン(LH)濃度の解析を継続した。その結果、行動量の増加がLHサージに先行し、この時間的相関関係は無発情を示した個体においても顕著であったことから、発情に伴う行動量の増加が発情評価の定量的指標となることを明らかにした。また、ヤギER遺伝子(ESR1)座にloxP配列を導入した遺伝子改変ヤギ(ESR1-floxedヤギ)を作出することを最終的な目的として、ヤギにおいて新たなゲノム編集技術の導入を試みた。より高効率に遺伝子改変個体を作出できる技術として受精卵エレクトロポレーション(GEEP)法に着目し、本研究の目的である遺伝子改変ヤギ作出に導入することを試みた。GEEP法では1細胞期胚にゲノム編集を行うため、ヤギ1細胞期胚を確実に採取する必要がある。そこで、ヤギの過排卵処置や、オスとの交配、卵管内受精卵を効率的に回収するタイミングの検討を行い、ヤギの遺伝子工学技術の最適化を行った。その結果、1細胞期胚を多数採取できるプロトコールを確立し、採取した1細胞期胚にGEEP法を適用してある特定遺伝子のゲノム編集胚の作出ができた。今後、今回作出したゲノム編集胚を受胚ヤギに移植し、ゲノム編集個体が得られることを検証する。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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