研究課題
これまでに下顎短小・腎低形成症の原因遺伝子の染色体上の位置は明らかにされ、その領域に存在する疾患の原因となる可能性のある候補遺伝子は特定されている。しかしこの遺伝子にはきわめてGC含量の高い領域存在しているため、その塩基配列の解析は困難であり、またデータベース上のウシゲノム配列においてもこの遺伝子の正確な塩基配列は明らかとなっていなかった。そこで本年度の研究では、まず、これまでに報告されているGC含量の高い領域の増幅するためのいくつかの方法を用いて、この遺伝子の正確な塩基配列を明らかにすることを試みた。その結果、全エキソンの塩基配列が明らかになり、これまでにデータベース上では報告されていない新たなエキソンが存在すること、これまでに報告されている転写物とは異なる短い転写物が存在することが明らかとなった。これらの情報に基づいて、発症個体と正常個体の間で全エキソンの塩基配列を比較し、発症個体に特異的な変異が存在するかについて探索した。その結果、ナンセンス変異等の遺伝子の機能に大きな影響を与える可能性のある突然変異はエキソン上には存在しないことが明らかになった。そこで、次に当該遺伝子のエキソン以外のプロモーター領域、イントロン等に疾患の原因となる変異が存在しているかを明らかにすることを試みた。当該遺伝子のイントロンには多数の反復配列が存在するため、これらの配列を含む領域の塩基配列の解析は困難であったため、これらの領域を除いた領域について発症個体と正常個体の間で、その塩基配列を比較した。その結果、発症個体に特異的と考えられる塩基配列上の変異が複数特定された。今後、黒毛和種の多数の個体についてこれら変異の分布を調べることで、発症個体に特異的な変異が特定され、その変異を検出することで下顎短小・腎低形成症の遺伝子診断法が確立されることが期待される。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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