研究課題
ブタやウシなどの家畜は、幼若期に腸管感染症が多発し、成長遅延から生産性の著しい低下が起こり産業被害が増大している。その対策として多用される抗菌剤により薬剤耐性菌の出現が高まり、家畜やヒトへの新たな健康危害リスクの増加が懸念されている。そのため、抗菌剤のみに頼らない家畜の健全育成技術の開発が切望されている。本研究は、世界初となる家畜対応型の腸管免疫調節機能性プロバイオティクス(イムノバイオティクス)のインビトロ抗病性選抜・評価系を構築し、その発展的利用による家畜健全育成技術基盤の確立を目指す。本年度は、抗病性イムノバオティクスの選抜・評価系に最適なロタウイルスを用い、抗病性イムノバイオティクスの選抜・評価を進めることができた。具体的には以下の成果が得られた。1.家畜腸管上皮細胞によるウイルス感染系確立:1)ブタ腸管上皮(PIE)およびウシ腸管上皮(BIE)細胞株を用い、昨年度の研究により得られた感染系に最適なロタウイルスを用いて、感染により変動する細胞内因子について定量的リアルタイムRT-PCRにより測定し、さらに、ウエスタンブロットによりタンパクの修飾についても解析することができた。2)ロタウイルス感染系における評価因子の網羅的検索:二本鎖RANモデルによりPIE細胞およびBIE細胞を刺激後、変動する因子についてマイクロアレイ解析し、炎症および免疫調節関連遺伝子に着目した検証を通して感染免疫応答の機構解明を進めることができた。2.抗病性イムノバイオティクス選抜・評価系の確立とその応用これまで得られているイムノバオティクスと新たに追加したブタ腸内細菌ライブラリーより選定した候補菌株について、抗病性イムノバイオティック選抜・評価系により、ロタウイルスに対する抗病性イムノバイオティクスの選抜・評価を開始し、幾つかのイムノバイオティクス候補菌株が得られ、インビボ検証を開始した。
1: 当初の計画以上に進展している
家畜対応型のイムノバイオティクスのインビトロ抗病性選抜・評価系の発展的構築が進み、抗病性イムノバイオティクスの候補菌株が得られ、インビボ検証試験を早めに行うことが可能となった。検証実験を推進することにより、構築したその応用によるイムノバイオティクスのインビトロ抗病性選抜・評価系の有用性が証明され、家畜健全育成技術基盤の確立に向けた発展的利用性が大いに期待される。
インビトロ抗病性選抜・評価系の発展的構築が予想以上に進み、抗病性イムノバイオティクスの候補菌株が得られ、インビボ検証試験を計画より前倒しで開始することができたことから、構築した選抜・評価系の有用性検証をさらに進めることにより、イムノバオティクスによる家畜健全育成技術基盤の確立を目指す。
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