研究課題/領域番号 |
16H05020
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
村井 篤嗣 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (10313975)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 畜産学 / 栄養生理学 / ニワトリ / IgY欠損 / ファブリキウス嚢 / 卵黄 / 胚盤 / マイクロアレイ |
研究実績の概要 |
本年度はIgYの取り込み能が高いIgY欠損鶏と正常鶏の卵母細胞におけるmRNAの発現量を網羅的に比較解析し、IgY欠損鶏の卵胞で発現レベルが高い遺伝子を選抜することを目的とした。 (1) 孵卵18日目のニワトリ胚からファブリキウス嚢を外科的に除去してIgY欠損鶏を作出した。孵化したヒナから雌のみを選抜して、性成熟後の25週齢まで育成した。(2) マイクロアレイ解析に用いるIgY欠損群と正常群の血清中IgY濃度をELISA法で測定した。25週齢におけるIgY欠損群の血液中IgY濃度は正常群の1000分の1以下であった。(3) IgY欠損群と正常群のニワトリから卵巣を採取し、卵母細胞由来のmRNAが含まれる胚盤を採取した。1つの胚盤に含まれる卵母細胞由来のmRNAは少量であるため、3個体のニワトリから得た胚盤サンプルをプールして総RNAを抽出した。これらの総RNAサンプルをマイクロアレイ解析に供試して、両群の遺伝子発現レベルを網羅的に比較解析した。(4) 正常群と比較してIgY欠損群でmRNA発現量が2倍以上に上昇したものは23遺伝子であった。これらの遺伝子の中で、受容体機能が知られている遺伝子は3.03倍に上昇したPROCR、2.30倍上昇したADRA2C、2.14倍上昇したNR2C1の3つであった。(5) IgY欠損群において、既知IgY受容体であるFcRYの発現量は1.52倍、IgY受容体機能を有する可能性を持つLRP2Lは1.32倍上昇した。 以上より、IgY欠損群の卵母細胞で高発現する複数のIgY受容体候補遺伝子を選抜することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年の夏期はIgY欠損鶏の育成率が悪く、平成28年の冬期に再度IgY欠損鶏の作出を実施した。そのため平成28年度の経費を平成29年度に繰り越して本研究課題を実施した。最終的に、平成28年度当初の実施計画を完遂することができた。予想通り、IgY欠損鶏の卵母細胞で遺伝子発現が上昇する複数の候補遺伝子を選抜することができた。よって、現在までに本研究課題はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
IgY欠損鶏の卵胞で遺伝子発現が上昇する複数の候補遺伝子を選抜することができた。そこで、これらの候補遺伝子の卵胞における発現特性を遺伝子レベルとタンパク質レベルで調査する予定である。IgY欠損鶏は外科的手術により作出するが、抗体欠損により免疫力が低下する。そのため熱ストレスに暴露される夏期の育成率が悪いことが判明した。今後は、IgY欠損鶏の作出の時期ならびに安定な飼育環境の維持に配慮する。
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