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2018 年度 実績報告書

IgY欠損鶏を用いた新規アプローチによる鳥類の母子免疫機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16H05020
研究機関名古屋大学

研究代表者

村井 篤嗣  名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (10313975)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード畜産学 / ニワトリ / ウズラ / IgY抗体 / 卵黄 / 候補受容体
研究実績の概要

平成29年度までに選抜された2つの受容体候補遺伝子のLRP2LとFcRYとがIgY抗体との結合活性を有するのかを調査した。
(1) 第1の候補遺伝子であるLRP2LとIgYとの結合能を調査するために、シグナル配列と膜結合領域より下流を除いた分泌型のLRP2L(翻訳開始点から31-2,120アミノ酸残基)を哺乳類細胞を用いて作出した。作出した分泌型LRP2Lの分子サイズを確認した所、内因性で発現するLRP2Lとほぼ同一の分子サイズ(約300 kDa)であった。分泌型LRP2LとIgY抗体が結合するのかを、様々な手法を用いて解析したが、両者は結合しないことが判明した。
(2) 第2の候補遺伝子であるFcRYとIgYとの結合能を調査するために、シグナル配列と膜結合領域より下流を除いた分泌型のFcRY(翻訳開始点から36-1,396アミノ酸残基)を哺乳類細胞を用いて作出した。作出した分泌型FcRYの分子サイズは、内因性で発現するFcRYとほぼ同一の分子サイズ(約180 kDa)であった。分泌型FcRYとIgY抗体が結合するのかをプルダウン法で調査した所、両者は酸性条件(pH 6.0)で強く結合し、中性条件下(pH 7.4)では解離することが判明した。
(3) 卵黄輸送能の異なる3種類のIgY-Fc変異体 (G365A、WT、Y363A) と分泌型FcRYとの結合能を測定した。その結果、FcRYへの結合能はY363Aが最も低いこと、またG365AとWTの結合能は同等かあるいはG365Aの方が高いことが明らかとなった。この結果は、血中に投与したIgY-Fc変異体の母ドリ卵黄への輸送量がG365A>WT>Y363Aであったこととほぼ一致した。
以上より、IgYの血液から卵黄への輸送には第2の候補遺伝子であるFcRYが関与する可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成30年度は、精製した候補遺伝子タンパク質の結合活性評価の過程で、精製した候補タンパク質の精製度が低いことが判明した。そのため、平成30年度の経費を令和元年度に繰り越して本研究課題を実施した。その結果、精製度の高い候補遺伝子タンパク質を得ることができ、平成30年度当初の実施計画をほぼ達成することができた。2つの候補遺伝子タンパク質のうちの一つがIgYと酸性条件下で結合することを示すことができ、候補遺伝子を一つに絞り込むことができた。よって、本研究課題はおおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

これまでの研究により、卵黄輸送を担うIgY受容体の候補遺伝子がほぼ一つに絞ることができた。今後は、この候補遺伝子の機能特性と生理学的特性を調査するために、体組織における詳細な発現部位を解析するとともに、この候補遺伝子を細胞株に強制発現させた時のIgYの輸送能を調査することで、この候補遺伝子が卵黄へのIgY輸送を担う真の受容体であるかを証明する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Ingestion of paddy rice increases intestinal mucin secretion and goblet cell number and prevents dextran sodium sulfate-induced intestinal barrier defect in chickens.2018

    • 著者名/発表者名
      Murai, A., Kitahara, K., Terada, H., Ueno, A., Ohmori, Y., Kobayashi, M. and Horio, F.
    • 雑誌名

      Poult. Sci.

      巻: 97 ページ: 3577-3586

    • DOI

      doi.org/10.3382/ps/pey202

    • 査読あり
  • [学会発表] 母ドリ卵黄へのIgY抗体の輸送に受容体は関与するのか―FcRY受容体による制御―2019

    • 著者名/発表者名
      辰巳郁也・松波華菜子・小林美里・堀尾文彦・村井篤嗣
    • 学会等名
      日本畜産学会第125回大会
  • [学会発表] デキストラン硫酸ナトリウムの頻回経口投与がニワトリヒナの腸管バリア機能に及ぼす影響2019

    • 著者名/発表者名
      村井篤嗣・森大樹・渡辺駿斗・新居隆浩・小林美里・堀尾文彦
    • 学会等名
      日本家禽学会2019年春季大会

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公開日: 2021-01-27  

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