今後の研究の推進方策 |
1)30年度もこれまでと同様、臨床獣医師と共同して牛の各種神経疾患の自然発症例を収集し、血清および脳脊髄液サンプル採取を継続する。病理解剖により診断が確定された症例については、血清および脳脊髄液の生化学性状解析を行うとともに、症例報告としてその知見を積極的に公表する。 2)プロテオーム解析による新規蛋白マーカーの検索及び定量:各種神経疾患を伴う牛症例の脳脊髄液を材料に、二次元電気泳動を行い,疾患特異的蛋白質を検索する。疾患特異的スポットが得られた場合には,質量分析法により蛋白質の同定を行い、診断に有用な蛋白質性状を同定する。29年度の研究成果から髄膜脳炎特異性が予想された脳脊髄液中のハプトグロビン及びGlial Fibrillary Acidic Protein (GFAP)については、ELISA法を用いて各種神経疾患の脳脊髄液中含有量を定量し、感度及び疾患特異性を検討する。 3)疾患特異的遺伝子マーカーの検索:神経疾患症例からRNA解析用サンプルとしてのCSFおよび血液を採取し、mRNA抽出後ランダムプライマーと逆転写酵素を用いて cDNA を合成する。IL-1, IL-2, IL-4, IL-6, IL-12, TNF, IFN など主要なインターロイキン遺伝子、およびS100B, NSE, Tau,GFAP, Nestin, NeuN, Fox3, Neurofilament, Periplerin 等の神経細胞に関連する蛋白質をコードする遺伝子に注目して各種疾患発症時のCSF および末梢血液中の発現状況を定量的 RT-PCR 法により遺伝子発現状況を明らかにする。 4)牛のmicro RNAに着目し、脳脊髄液中の疾患特異的micro RNA発現パターンの解析を試みる。
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