研究課題
ホルモン処理終了から分娩までの間隔は、プロスタグランジン(PG)F2αのみによる分娩誘起(PG群)の平均44.2時間(最大-最小間隔; 23.6時間)に対し、トリアムシノロンアセトニド前投与の5-7日後にPGF2αと高用量のベタメタゾンを投与したTABET群では平均35.2時間(最大-最小間隔; 15.3時間)と分娩タイミングの変動が小さかった。胎盤停滞発生率は、自然分娩(SP群)が20%であり、PG群およびTABET群の発生率はそれぞれ100および78%であった。TABET群の胎盤停滞発生率はPG群に比較して低下したが、有意差は認められなかった。TABET群における子牛の生時体重および娩出後の臨床的所見に異常は見られなかった。RNA-seqによって誘起分娩時の胎盤節で異常が認められたインターフェロン(IFN)シグナルに関する遺伝子の発現量をqRT-PCRによって解析した。胎盤節におけるmRNA発現が検出されたIFNのうち、IFNTのみがSP群において有意に発現量が増加した。また、IFN受容体のうち、SP群においてINFAR1およびINFGR1の発現量が有意に増加した。IFNGR1の発現量増加は、TABET群でも認められた。SP群の胎盤節では、IFN刺激応答遺伝子であるISG15、OAS1、MX1およびMX2遺伝子の発現が誘起分娩に比較して有意に高かった。分娩後の胎盤剥離機構の解析を目的に、誘起分娩時に採取した胎子胎盤由来の上皮細胞の培養方法を検討した。コラーゲンゲルを用いた三次元培養によって細胞コロニーの発生を認めたものの、細胞機能解析に供することができるレベルの増殖細胞を得ることができなかった。以上の結果から、トリアムシノロンアセトニドやベタメタゾンなどのグルココルチコイドの投与が分娩時胎盤節の遺伝子発現を変化させることが示唆された。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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