• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実績報告書

筋組織における間葉系前駆細胞のニッチ形成因子としての役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16H05041
研究機関東京大学

研究代表者

山内 啓太郎  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (70272440)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード間葉系前駆細胞 / CSPG4 / 脂肪細胞 / 線維芽細胞 / 骨格筋 / 筋ジストロフィー
研究実績の概要

ある種の病態では骨格筋や心筋に線維化や脂肪化がみられる。これらは間葉系前駆細胞を共通の起源にもつ線維芽細胞の増加や脂肪細胞の出現によるものである。申請者は間葉系前駆細胞特異的マーカーとしてCSPG4 分子を同定し、この分子が間葉系前駆細胞自身の分化制御に関与するだけでなく筋細胞に対しても作用している可能性を見いだした。本研究は間葉系前駆細胞ならびにそれを共通の起源にもつ線維芽細胞や脂肪細胞を筋細胞周囲の環境(ニッチ)形成因子と位置づけ、その分化制御機構におけるCSPG4 の役割や筋細胞に対するCSPG4 の作用について解明するとともに、ゲノム編集技術を用いて生体筋組織におけるCSPG4 分子の機能を検証することを目的としたものである。本年度は以下の研究成果が得られた。
1.昨年度作出に成功したCSPG4 KOラットと、ジストロフィン遺伝子欠損をもつ筋ジストロフィーモデルラット(DMDラット)との交配を開始し、DMD-CSPG4 KOラットが正常に産まれることを確認した。
2.2G11細胞を用いて、ラット間葉系前駆細胞クローンの各分化段階(未分化、線維芽細胞、脂肪細胞)における可塑性について調べた。その結果、ひとたび線維芽細胞へと分化した場合でも細胞密度を低下させる、もしくはbFGFを作用させることで再び未分化な間葉系前駆細胞へと戻ることが判明した。
3.老齢ラット骨格筋間質にCSPG4陽性の老化細胞が出現することを見いだした。細胞老化の一つの要因として酸化ストレスが考えられることから、2G11細胞を過酸化水素処理し細胞老化を誘導したところ、脂肪細胞、線維芽細胞への分化能を失い、さらに筋芽細胞の筋分化を著しく抑制することが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本課題でニッチ形成因子と位置づけた間葉系前駆細胞が可塑性をもつこと、さらには老化した間葉系前駆細胞が筋分化を著しく阻害するなど当初の予想を遥かに超えた知見が得られたため。

今後の研究の推進方策

今後も当初の研究計画に加え、新規に得られた間葉系前駆細胞の可塑性や老化間葉系前駆細胞が筋分化を阻害する機序についても解析を進める予定である。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] 筋ジストロフィーモデルラットの作製とラット間葉系前駆細胞クローンの樹立2018

    • 著者名/発表者名
      竹内志帆、杉原英俊、寺本奈保美、山内啓太郎
    • 雑誌名

      LABIO 21

      巻: 71 ページ: 7-11

  • [雑誌論文] Oxidative stress-mediated senescence in mesenchymal progenitor cells causes the loss of their fibro/adipogenic potential and abrogates myoblast fusion.2018

    • 著者名/発表者名
      Sugihara H, Teramoto N, Yamanouchi K, Matsuwaki T, Nishihara M.
    • 雑誌名

      Aging

      巻: in press ページ: in press

    • DOI

      10.18632/aging.101425.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Progranulin deficiency leads to prolonged persistence of macrophages, accompanied with myofiber hypertrophy in regenerating muscle.2017

    • 著者名/発表者名
      Sugihara H, Miyaji K, Yamanouchi K, Matsuwaki T, Nishihara M.
    • 雑誌名

      J Vet Med Sci

      巻: 80 ページ: 346-353

    • DOI

      doi: 10.1292/jvms.17-0638.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Acquisition of SASP in senescent mesenchymal progenitor cells abrogates fusogenic potential of skeletal muscle progenitor cells.2018

    • 著者名/発表者名
      Sugihara H, Teramoto N, Matsuwaki T, Yamanouchi K, Nishihara M
    • 学会等名
      The 9th Joint Symposium of Veterinary research among Universities of Veterinary Medicine in East Asia
    • 国際学会
  • [学会発表] 骨格筋内脂肪蓄積機構の解明とその制御に向けたモデル動物の作出2018

    • 著者名/発表者名
      山内啓太郎
    • 学会等名
      第17回 日本再生医療学会総会シンポジウム「獣医師が行う再生医療研究 小・大動物臨床への応用から畜産・動物保護」
    • 招待講演
  • [学会発表] 骨格筋間葉系前駆細胞に由来する線維芽細胞の脱分化は細胞密度に依存する2018

    • 著者名/発表者名
      竹内志帆、山内啓太郎、松脇貴志、西原真杉
    • 学会等名
      第17回 日本再生医療学会総会
  • [学会発表] 老化間葉系前駆細胞は筋衛星細胞の分化能低下を引き起こす2018

    • 著者名/発表者名
      杉原英俊、寺本奈保美、松脇貴志、山内啓太郎、西原真杉
    • 学会等名
      第17回 日本再生医療学会総会
  • [学会発表] 骨格筋間葉系前駆細胞に由来する線維芽細胞の脱分化について2017

    • 著者名/発表者名
      竹内志帆、松脇貴志、山内啓太郎、西原真杉
    • 学会等名
      第123回 日本畜産学会
  • [学会発表] 骨格筋前駆細胞群の分化制御機構と筋病態モデル動物の作出2017

    • 著者名/発表者名
      山内啓太郎
    • 学会等名
      第160回 日本獣医学会 生理学・生化学分科会シンポジウム「幹細胞:基礎研究の行方」
    • 招待講演
  • [学会発表] ジストロフィン遺伝子にin-frame変異をもつラットの骨格筋における病態解析2017

    • 著者名/発表者名
      寺本奈保美、松脇貴志、山内啓太郎、西原真杉
    • 学会等名
      2017年度 遺伝研研究会「マウスとラットで拓く新しい比較実験動物学」
  • [学会発表] ジストロフィン遺伝子変異ラットの骨格筋病態悪化に細胞老化が関与する可能性2017

    • 著者名/発表者名
      杉原英俊、寺本奈保美、中村克行、志賀崇徳、松脇貴志、山内啓太郎、西原真杉
    • 学会等名
      2017年度 遺伝研研究会「マウスとラットで拓く新しい比較実験動物学」

URL: 

公開日: 2018-12-17  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi