研究課題
(1)がん特異的免疫増強剤の開発に関する研究DCのエンドソーム膜と融合して効率的に内包物を細胞質内に放出し、効率的に抗原提示を高めるpH感受性リポソームにDCに結合性を持つ合成トル様レセプター2リガンド(h11c)を結合した免疫増強剤の構成成分の検討を行ったところ、pH感受性ポリマーとしてCHexpG8、リポソームへのh11c含有量として5%が最適であることが分かった。以後は、このh11c含有CHexpG8リポソーム(h11c-PGリポソーム)を免疫増強剤として用いて特性の解析を行った。卵白アルブミン(OVA) を内包したh11c-PGリポソーム、h11cリポソーム、PGリポソームおよびリポソームを投与したマウスからリンパ球を採取し、OVA を抗原エピトープとして発現するリンパ腫 細胞株である E.G7-OVA に対する細胞傷害反応を調べたところ、h11c-PGリポソームを投与したマウスのリンパ球は、他のリポソームを投与したマウスのリンパ球に比べて有意に高い反応を示した。(2)免疫抑制分子標的阻害剤の開発に関する研究免疫抑制分子(CTLA-4)標的阻害剤の作製:Tリンパ球の活性化に伴いに発現するCTLA-4は、抗原提示細胞上のB7と結合するとTリンパ球内に抑制シグナルを発生させ、Tリンパ球の免疫活性を著しく低下させる。この抑制シグナルの発生を防止し、がん免疫反応を増強するためにCTLA-4とB7間の結合を阻害するCTLA-4と結合性の高いペプチドをファージディスプレイ法などによって選択したところ、B7と同等またはそれ以上のCTLA-4との結合性を持つ3クローンを得た。
2: おおむね順調に進展している
交付申請当時に目的としていた①がん特異的免疫増強剤の構成成分の最適化および特性の解析と②抑制シグナルの発生を防止し、がん免疫反応を増強するためにCTLA-4とB7間の結合を阻害するCTLA-4と結合性の高いペプチドを得ることができた。
最適化免疫増強剤を用いて担癌マウスモデルの治療を行う。C57BL/6 マウスに同系のOVA 抗原(エピトープ)を発現するリンパ腫細胞株である E.G7-OVA を移植して成長させた後、OVAを内包した免疫増強剤を注射して最も効果的に腫瘍の増殖を抑制する投与量、投与回数等を検討する。ヒトまたはイヌのリンパ球を用いてin vitroにおいて、クローニングしたペプチドの機能を解析する。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (4件)
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