研究実績の概要 |
①昨年度予定した、229匹の全F2-Ayマウスの全ゲノムジェノタイピングを実施中である。完了次第、相互作用を示すQTLの有無を明らかにする。 ②昨年度樹立していたQTLコンジェニックマウスのうち、第4染色体QTLピークであるD4Mit279マーカーのみを保有する系統の雄をC3H/HeJ系統の雌と交配させ、160匹ほどのF2-Ayマウスを得た。D4Mit279はこのF2マウスについても多型マーカーとして利用できたので、14週齢時における血漿インスリン濃度とマーカー遺伝子型の関連を調べた。その結果DDDアリルは有意にインスリン量を低下させることが明らかとなった。このことから、D4Mit279近傍に原因遺伝子が存在することがほぼ確実となった。 ③C57BL/6J-Ay, KK-Ay, C3H/HeJ-Avy系統は、いずれも高インスリン血症を呈する点で、DDD-Ayマウスと大きく異なる。この点に着目し、第4染色体QTL原因遺伝子がタンパクコード領域の多型・変異であると仮定し、QTL信頼領域に位置する遺伝子の中から候補遺伝子を抽出した。C57BL/6J, C3H/HeJ, KKのゲノム情報はジャクソン研究所データベースから利用可能となっており、またDDDに関しては自ら行ったエキソームシークエンスデータに寄った。結果として、Ebna1bp2, Ermap, Inpp5b, Mtf1,Epha10, Gnl2, Snip1, Meaf6, Zc3h12a, Ago4の10個の遺伝子を候補遺伝子とした。これら遺伝子については既にSYBR GreenによるReal-time RT-PCR用のプライマーを合成済である。また、DDD-Ayマウス及びDDD-agoutiマウスの膵臓及び脂肪組織からtotal-RNAの抽出を済ませており、今後速やかに両系統間で発現差を示す遺伝子を検索する。
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