研究課題/領域番号 |
16H05058
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
金田 哲 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境変動研究センター, 上級研究員 (00537920)
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研究分担者 |
池田 紘士 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (00508880)
小松崎 将一 茨城大学, 農学部, 教授 (10205510)
兵藤 不二夫 岡山大学, 異分野融合先端研究コア, 准教授 (70435535)
舟山 健 秋田県農林水産部(農業試験場、果樹試験場、畜産試験場、水産振興センター及び林業研究研修センター), 果樹試験場, 主任研究員 (70502376)
上野 秀人 愛媛大学, 農学研究科, 教授 (90301324)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ミミズの生態系機能 / 果樹園 / 草生栽培 / 土壌理化学性 / ミミズ群集動態 / 団粒形成速度 / 土壌炭素 / 窒素無機化 |
研究実績の概要 |
ミミズは団粒形成を促進し、養分循環を促進するため、持続的農業生産を行ううえで重要な生物群である。しかし、農薬散布や下草管理といった農法がミミズ群集やミミズの肥沃度改善機能に及ぼす影響は明らかになっていない。 そこで本課題では、大きく4つのテーマで進めている。初年度からは1)ミミズの生活型区分の解明、2)農法がミミズ群集に及ぼす影響の解明、3)ミミズの機能の解明及び団粒形成量との関係の解明の3つのテーマを行い、最終年度に4)環境保全型農法によるミミズの土壌肥沃度改善効果の推定を行う予定である。1)ミミズの生活型区分の解明では、つくば市、苫小牧市、福島市の3ヶ所でサンプルを採取した。分析には1ヶ所につき同一種で3個体が最低必要となるが、今年の調査により、新たに2種の分析結果を得ることができた。またそれぞれの採取地でこれまでに採取していた種を採取出来た。今後、採取地毎の安定同位体比を比較し、場所により餌資源が変化しないかを評価する。2)農法がミミズ群集に及ぼす影響の解明に関する研究では、カバークロップがミミズ群集に及ぼす影響を調べるため、秋田県の農家と茨城大学で調査を行った。ミミズ幼体の種名を調べるサンプルは茨城大学で採取した。秋田県の調査は本年度で終了し、調査の結果カバークロップによるミミズ生息密度増加の効果は認められなかった。一方で低土壌pHにより生息密度が低下する傾向が検出できた。欧米では低pHによりミミズの生息密度が低下することが知られており、今後はpHの影響も評価していく必要がある。3)ミミズの機能の解明及び団粒形成量との関係を解明する研究では、団粒形成量と窒素無機化速度の関係を調べ、団粒形成量が増加するとともに窒素無機化速度が増加することを明らかにした。また、団粒形成量と養分溶脱量の関係を評価する実験系を検討し、実験準備を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ミミズの生活型区分については、順調に2種のデータを得ることが出来た。新たに追加出来る種数が少なくなってきており、農地で優占している種を採取出来ていると考えている。農法がミミズ群集に及ぼす影響を評価する研究では、予定通りの調査を行うことが出来た。ただ、茨城大で採取した幼体のDNAはまだ抽出出来ておらず若干遅れ気味である。来年度に抽出および解析を行う。土壌パラメータと団粒形成量の関係を把握する実験では6つの土の分析まで終了した。残り10の土を来年度分析する。ミミズの機能と団粒形成量の関係を評価する試験では、団粒形成量と養分溶脱量の関係を評価する実験のみ残されており、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
ミミズの生活型区分を解明する研究では、分析が終了した種はフトミミズ科の種が殆どでツリミミズ科の種は1種しか分析出来ていない。フトミミズ科は日本全国で優占しているものの、北日本ではツリミミズ科の種も多数生息している。このため来年度はツリミミズ科の種を増やしていく。農法がミミズ群集に及ぼす影響を評価する研究では、秋田県の農家においては夏と秋の2回ミミズサンプリングを行っており、夏の生息密度が低かった。秋田では初夏において乾燥し、越冬する種が殆どなため、春まで生息密度が高く初夏の乾燥により減少すると考えられる。これを確認するために秋田では春の生息密度を調査する。また、当初予定していた茨城大での夏の調査、遮光試験での夏と秋の調査を行う。これにより当初予定していた調査計画を終えることができ、秋田県と茨城大では草生栽培が、愛媛大学では有機栽培がミミズ群集に及ぼす影響を、また遮光試験により草生栽培で起こる草による遮光がミミズ群集に及ぼす効果を明らかにできる。ミミズの機能の解明及び団粒形成量との関係を解明する研究では、土壌パラメーターと団粒形成量の関係を明らかにする実験を進めると共に、団粒形成量と土壌養分保持能の関係を把握する実験を行う。全ての結果を取りまとめることで、愛媛、茨城、秋田において有機栽培や草生栽培がミミズの生息密度に及ぼす影響、さらにはミミズによる肥沃度改善効果(炭素蓄積や窒素無機化促進)がどの程度期待できるかを評価する。
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