研究課題
昨年度までに、NPR1或いはJAZが直接相互作用する因子として、AlphaScreenシステムを用いて、サリチル酸(SA)情報伝達系を制御するWRKYやTGA転写因子、ジャスモン酸(JA)応答性のMYCやERF、さらには成長制御に関与するE2F、Mybなどが同定された。さらに、NPR1は、光形態形成に関わる転写因子との相互作用も認められた。次に、in vitroで相互作用が認められたものに関しては、in vivoにおける相互作用をBiFC法にて調査し、全ての転写因子に関し、核内での相互作用を確認した。WRKYの多重変異体、wrky11wrky17、wrky54wrky70、wrky11wrky17npr1、wrky54wrky70npr1、wrky11wrky17jai3-1、wrky54wrky70jai3-1やMYCの多重変異体myc2myc3myc4やmyc2myc3myc4npr1を作出し、Pseudomonas syringae pv maculicolaを接種した。その結果、WRKYはリプレッサーとして機能することが示唆され、MYCはSAを負に制御することが明らかになった。また、光形態形成に関与する転写因子と相互作用することから、暗下でSAを処理したところ、暗下であるにも関わらず光応答性の遺伝子発現が認められた。このことから、NPR1は、暗下において成長を積極的に抑制するものと考えている。
2: おおむね順調に進展している
NPR1及びJAZとの新規相互作用転写因子を同定し、一部に関しては多重変異体の表現型も確認できたため。
現在まで、SAシグナルを評価するための病原菌としてP. syringaeを接種したので、今後は、JAシグナルを活性化させる腐生菌としてBotrytis cinereaを接種する予定である。また、NPR1やJAZが、相互作用する転写因子の転写調節能を抑制或いは活性化するかを調査するために、Benthamiana植物を用いたレポーターアッセイを行う。
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