研究課題
植物におけるNADH代謝調節によるストレス応答制御の包括的解明を目指して、NADH加水分解酵素であるシロイヌナズナNudix hydrolase, AtNUDX6および7による生物的および非生物的ストレス応答の制御機構を明らかにすることを試みた。1. レポーター遺伝子を用いたAtNUDX6および7のプロモーター解析 AtNUDX6および7のプロモーターとルシフェラーゼ(LUC)遺伝子導入系統を用いて、葉では生物的24時間後までにAtNUDX6と7の両方が、非生物的ストレス24時間後までにAtNUDX7のみが発現誘導されるが、根では非生物的ストレスにより両者の発現が僅かに増加するのみであることを明らかにした。2. 発現レベルが細胞内NADHレベル変化と正および負の相関関係を示す遺伝子群の機能解析 これまでに同定したNADHに対して発現応答性を示す296遺伝子(NRG)の中で、NAC転写因子の一つ、At1g34180の遺伝子破壊株はストレス下でのダメージの亢進を示すアントシアニンの高蓄積が認められた。また本株では、ストレス下でAtNUDX7やDNA修復因子であるAtRAD51B、AtRAD51Cの発現の亢進が認められた。3. AtNUDX6および7の相互作用因子の同定 これまでに、酵母two-hybrid法によりAtNUDX6の相互作用候補因子として低分子量GTPaseタンパク質ファミリーの一つ(RGP1)を同定した。RGP1遺伝子破壊株ではAtNUDX6の発現が、逆にAtNUDX6遺伝子破壊株ではRGP1の発現が抑制されていた。また、RGP1遺伝子破壊株ではAtNUDX6遺伝子破壊株と同様に多くのサリチル酸経路関連遺伝子の発現が抑制されていた。さらに、RGP1遺伝子破壊株ではAtNUDX6遺伝子破壊株と同様にサリチル酸処理下でのそれら遺伝子の発現誘導が抑制されていた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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