研究課題
研究代表者はヒトiPS/ES細胞に発現する糖鎖をレクチンアレイで網羅解析した結果、ヒトiPS/ES細胞に特異的に反応するレクチンとしてrBC2LCNを発見するとともに、rBC2LCNを用いてヒトiPS/ES細胞を検出・除去する新たな技術を開発してきた。最近、このrBC2LCNが膵がん幹細胞に強く結合することを見出した。そこで本研究では、膵がん幹細胞の糖鎖構造を明らかにする。次にrBC2LCNが認識する糖タンパク質マーカーを同定し、その構造と機能を明らかにする。更に、rBC2LCNを用いて膵がんを殺傷除去するための新たな技術を開発する。最終的には最大の難治がんである膵がん幹細胞糖鎖の構造と機能についての理解を深めることを目的とする。本年度は膵がん幹細胞用の性質を示す癌細胞株を含む各種膵がん細胞株、膵がんゼノグラフトモデルから採取した癌部の糖鎖プロファイルをレクチンアレイで解析した。その結果、膵がん及び膵がん幹細胞様の膵がん細胞株に発現する糖鎖プロファイルを取得することができた。またゼノグラフトモデルの膵がんの癌部からヒドラジン分解で糖鎖を切り出し、液体クロマトグラフィーと質量分析を用いて定量的な糖鎖構造解析を実施した。更に、rBC2LCNレクチンが反応する糖タンパク質を、質量分析を用いたプロテオミクス的手法で網羅的に解析した。また糖結合特異性から選抜した計20種のレクチンを用いて、薬剤処理前後の膵がんゼノグラフトモデルへの反応性を解析した。薬剤融合型rBC2LCNを用いて、膵がん細胞株への殺傷効果を検討した。
1: 当初の計画以上に進展している
当初の予定していた通り研究を遂行し、成果を挙げることができた。
研究計画通り、膵がん、特に薬剤耐性膵がん幹細胞に発現する糖鎖構造と機能を明らかにすることにより、膵がんに対する新たな治療法の開発につながる基礎的知見を得る。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
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