研究課題/領域番号 |
16H05078
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大江 知行 東北大学, 薬学研究科, 教授 (10203712)
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研究分担者 |
李 宣和 東北大学, 薬学研究科, 助教 (60519776)
佐藤 涼 東北大学, 薬学研究科, 助教 (20757166) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アミロイドβ / 化学修飾 / 質量分析 |
研究実績の概要 |
① in vitro酸化ストレス由来のAβの反応と修飾体の構造解析:Aβ1-40(DAEFRHDSGY EVHHQKLVFF AEDVGSNKGA IIGLMVGGVV)を過酸化脂質由来のアルデヒド(4-hydroxy-2(E)-nonenal, HNE)存在下、PBS中、37oC、24時間の反応に付し、反応生成物をLC/ESI-MSにより解析した。その結果、Aβ1-40にHNEが1~4個付加した付加体を確認し、種々プロテアーゼ(トリプシン、V8E)で断片化後、MS/MS解析に付し、修飾位置をN末端、His6、His13、His14と同定した。 ② Aβ修飾体の凝集実験:①で得たHNE修飾Aβの凝集を、チオフラビンT(Ex. 440 nm/Em. 484 nm)を用いた蛍光法で確認し、修飾体と未修飾体で凝集速度に差が出来る事を明らかにした。 ③インスリシン、ネプリライシンによるAβ切断部位の同定:鎖長の異なるAβ1-40, Aβ1-42をインスリシン、ネプリライシンとの反応に付し、LC/ESI-MS/MS解析に付した。データのbイオン、yイオンを用いたde novoシークエンス法により、部分アミノ酸配列を求め、全アミノ配列と比較して切断部位を明らかにした。酵素反応基質のポジティブコントロールとしてインシュリンを、酵素のコントロールとして、Aβ非特異的なトリプシンとV8なども用いた。その結果、Aβ1-42から再現性のあるペプチドをそれぞれ37、31個同定し、切断箇所もそれぞれ24, 20箇所を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vitro糖化・酸化ストレス由来のAβの反応と修飾体の単離・構造解析(平成28年度初旬~平成29年度中旬)のうち、糖化修飾は進行中であるが、当初の予定通り秋までには終了予定である。 インスリシン、ネプリライシンによるAβ切断部位の同定(平成28年度初旬~平成28年度末)は当初の予定通りに終了している。 また平成29年度初旬から予定していた糖化・酸化修飾Aβの構造変化・凝集実験(平成29年度~)を既に一部着手済みである。
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今後の研究の推進方策 |
①in vitro糖化ストレス由来のAβの反応と修飾体の構造解析 ②糖化・酸化修飾Aβの構造変化・凝集実験(平成29年度~) 糖化ストレス・酸化ストレス下で、PBS中、37oC)凝集反応の経時変化を見る。凝集反応のモニターにはチオフラビンT(Ex. 440 nm/Em. 484 nm)を用いる蛍光プローブ法で行う。初期のオリゴマー形成反応のモニターは、SDS PAGEで行う。同様の実験を、単離精製した個々の糖化修飾Aβ、酸化修飾Aβ、Aβ標品を用いて行う。修飾形態による凝集の影響を検討する。 ④ 糖化・酸化修飾Aβのプロテアーゼ耐性(平成29年度~) 反応系(糖化ストレス・酸化ストレス下で、PBS中、37oC)で凝集反応の経時変化を見る。質量分析によるプロダクトイオンを解析し、消化ペプチドの同定、切断部位の特定を行う。各修飾形態によるプロテアーゼ抵抗性の影響を検討する。酵素(インシュリシン、ネプリライシン)とPBS中、37oCインキュベートし、経時的にLC-MS/Mに付し、基質となるか否かを確認する。酵素反応の経時変化を基に、修飾による酵素消化効率・切断部位の変化を解析する。コントロールとして、トリプシン、V8などAβ非特異的な酵素も用いる。凝集過程のプロテアーゼ抵抗性は以下、モニターしながら行う。SDS-PAGE上のオリゴマーのバンドをin gel消化後、LC/MSで解析する。チオフラビンT(Ex. 440 nm/Em. 484 nm)で蛍光増強を確認後、プロテアーゼとの反応に付す。同様の実験を、単離精製した個々の糖化修飾Aβ、酸化修飾Aβ、未修飾Aβ標品(コントロール)を用いて行う。
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