研究課題/領域番号 |
16H05078
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大江 知行 東北大学, 薬学研究科, 教授 (10203712)
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研究分担者 |
李 宣和 東北大学, 薬学研究科, 助教 (60519776)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アミロイドβ / 化学修飾 / 質量分析 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、①酸化修飾とりわけ脂質過酸化由来の反応性アルデヒド(4-hydroxy-2(E)-nonenal、HNE)によるAβ1-40修飾体の構造決定、②HNE修飾によるAβの凝集過程の変化の解明、③Aβ1-40およびAβ1-42標品のインスリシン、ネプリリシンによる切断部位をLC/ESI-MS/MSにより明らかにした(日本薬学会第137年会、2017年3月24日~27日、仙台で発表済み◯笹本和之、李宣和、大江知行:過酸化脂質由来の反応性アルデヒドによる化学修飾アミロイドβの研究)。これらの情報を元に平成29年度は以下の実績を得た。 ①Aβの凝集過程をモニターし、monomer, dimer, oligomer, 凝集体ごとに、インスリシン、ネプリリシン(Aβの立体構造を認識して消化する事が知られている酵素)と酵素反応を行い、消化ペプチドをLC/ESI-MS/MSによる解析した。②酵素による切断位置は、de novoシークエンス法により、ペプチドの部分アミノ酸配列を求めて解析した。③その結果、Aβの凝集過程により切断位置に違いがある事を確認した。④また、酵素消化のコントロールとして、トリプシン、V8などのアミノ酸選択的な汎用酵素を用いて同様の検討を行った。⑤①~④の実験に先立ち、蛍光試薬チオフラビンTによる凝集モニター法の溶媒等を再検討し、昨年度問題となっていた再現性などを改善した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究協力者の一人(薬学科5年の学生)の病院実習・薬局実習による中断が原因。但し、平成30年度は実習が無い事、平成29年秋から学部学生2人を投入したため、遅れは取り戻せる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
【糖化・酸化修飾Aβの構造変化・凝集実験(凝集トリガー候補の選択のため、in vitroで調製した各種酸化修飾体の構造変化・凝集能の関係まで明らかにする)】 <反応系での評価>①反応系(糖化ストレス・酸化ストレス下で、PBS中、37oC)での凝集反応の経時変化を見る。②初期のオリゴマー形成反応のモニターは、SDS PAGEで行う。③凝集反応のモニターにはチオフラビンT(Ex. 440 nm/Em. 484 nm)を用いる蛍光プローブ法で行う。④蛍光プローブ法は、蛍光マイクロプレートリーダー上96穴あるいは384穴プレート中、リアルタイムで測定する。<標品を用いた評価>①同様の実験を、先に調製・単離した個々の糖化修飾Aβ、酸化修飾Aβ、Aβ標品を用いて行う。②修飾形態による凝集の影響を検討する。 【糖化・酸化修飾Aβのプロテアーゼ耐性(糖化・酸化修飾によるプロテアーゼ抵抗性を評価する)】 <反応系での評価>①反応系(糖化ストレス・酸化ストレス下で、PBS中、37oC)での凝集反応の経時変化を見る。②質量分析によるプロダクトイオンを解析し、消化ペプチドの同定、切断部位の特定を行う。③各修飾形態によるプロテアーゼ抵抗性の影響を検討する。④酵素(インシュリシン、ネプリライシン)とPBS中、37oCインキュベートし、経時的にLC-MS/Mに付し、基質となるか否かを確認する。⑤酵素反応の経時変化を基に、修飾による酵素消化効率・切断部位の変化を解析する。⑥コントロールとして、トリプシン、V8などAβ非特異的な酵素も用いる。⑦凝集過程のプロテアーゼ抵抗性は以下、モニターしながら行う。⑧SDS-PAGE上のオリゴマーのバンドをin gel消化後、LC/MSで解析する。⑨チオフラビンT(Ex. 440 nm/Em. 484 nm)で蛍光増強を確認後、プロテアーゼとの反応に付す。<標品を用いた評価>①同様の実験を、先に調製・単離した個々の糖化修飾Aβ、酸化修飾Aβ、未修飾Aβ標品(コントロール)を用いて行う。
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備考 |
Scopus Author ID: 7004967951
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