研究実績の概要 |
平成28年度の、①脂質過酸化物由来の反応性アルデヒド(4-hydroxy-2(E)-nonenal、HNE)によるAβ1-40修飾体の構造決定、②HNE修飾によるAβの凝集過程の変化の解明、③Aβ1-40標品のインスリシン、ネプリリシンによる切断部位の同定、平成29年度の①蛍光試薬チオフラビンTによる Aβ凝集モニター法の最適化、②ヘキサフルオロイソプロパノール処理による再現性などの改善等の結果を基に平成30年度は以下の実績を得た。 [1] 過酸化水素(H2O2)、メチルグリオキサール(MG)、HNE、4-oxo-2(E)-nonenal(ONE)共存下でAβ1-40の凝集をチオフラビンTを用いてモニターした。その結果、H2O2では凝集の促進、MG、HNE、ONEでは凝集の抑制を確認した(抑制効果MG<HNE<ONE)。また報告例の無い、HNEおよびONEとの反応では、0~4個付加した修飾体を確認し、その主要修飾部位を特定した(HNE: N末端, His6,13,14; ONE: N末端, Arg5, Lys16)。 [2]インスリシン、ネプリリシンによる凝集前後におけるAβ1-40の消化をチオフラビンTとLC-MSでモニターした。未凝集体では、インスリシン、ネプリリシンいずれとの3日間の反応で、5~20残基程度のペプチドが確認され、ターン構造(E22DVGS26)を含む10残基程度のペプチドを複数同定し、各酵素の切断パターンも明らかにした。一方凝集体では、反応を7日まで延長しても、消化は認められなかった。
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