研究課題
本研究では、遺伝子発現が超活性化したアセチル化クロマチンを「単一ヌクレオソーム」単位の分解能で検出する新規技術開発を通して、ヒト疾患細胞におけるエピゲノム異常を高分解能で同定し、その形成機構を理解することを目指している。本年度は、ヒト疾患細胞におけるエピゲノム異常の単一ヌクレオソーム分解能検出法を開発するために、2種類のヒトがん細胞株からのクロマチン画分の調製とクロマチン剪断条件の最適化、および種々の剪断クロマチンの調製を行い、各種の抗体を用いたクロマチン免疫沈降(ChIP)qPCRおよびChIP-seqのデータを共同研究を通じて系統的に取得した。さらに、これらのモデルがん細胞株について包括的なトランスクリプトーム解析を行い、エピゲノム修飾とRNA転写との相関関係をゲノム規模で理解するための基礎的なデータを取得した。また、遺伝子発現が超活性化したアセチル化クロマチンを特異的に認識するモノクローナル抗体について、蛋白質分解酵素で消化したFab断片を大量調製・純化して、その認識基質ペプチドとの共結晶構造解析を行った。この共結晶構造の検討を通して、本研究でエピゲノム解析に用いる新規抗体が特異的にエピトープを認識する分子機構を原子分解能で解明できた。さらにこの抗体について、ハイブリドーマ発現遺伝子の塩基配列を決定し、試験管内蛋白質合成系でFabの重鎖および軽鎖をそれぞれ合成し、Fabとして再構成するための条件検討を共同研究により行った。また本年度は、ChIP-seqに関する新規技術の開発にむけてFabの各種変異体蛋白質を試験管内系で合成し、その機能を解析するための評価系の確立に着手した。
2: おおむね順調に進展している
当初立案していた研究計画がほぼ順調に進行しているため。
おおむね当初研究計画通りに進める。ただし、研究補助パートタイマーについては該当人材の確保が難しいことから、当研究室の技術員のエフォートを充てることで対応し、平成29年度は当初計上していた人件費・謝金を消耗品費に充てることを計画している。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
Mol Microbiol.
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1111/mmi.13658
Epigenetics
10.1080/15592294.2017.1290032
http://www.riken.jp/research/labs/clst/struct_synth_biol/bio_funct_mol_dev/epigen_drug_discov/
http://www.clst.riken.jp/ja/science/labs/ssb/biof/edd/