研究課題
本研究では、ヒト細胞において遺伝子発現が超活性化したヒストンH4のリジンアセチル化クロマチンをヌクレオソーム分解能で検出する新規技術開発を通して疾患細胞におけるエピゲノム異常を高分解能で同定し、その形成機構を理解することを目的としている。本年度は、昨年度までに技術開発したヒストンH4の高アセチル化に関するヌクレオソーム分解能での検出法の有用性を実証するために、4種類のヒト疾患関連の細胞株を用いてそれぞれの細胞株からクロマチン画分の調製と剪断クロマチン断片の調製を行った。次に、ヒストンH4の高アセチル化修飾について、各種のエピゲノム認識抗体と比較する形式でクロマチン免疫沈降-次世代シークエンス(ChIP-seq)のデータを共同研究を通して取得した。これらの疾患関連細胞株について遺伝子産物の包括的な定量解析を行い、一部の細胞株のデータについてエピゲノム修飾と遺伝子転写との相関関係をゲノム規模で解析した。これにより、特定の細胞株におけるヒストンH4の高アセチル化修飾と他のクロマチン修飾やBETブロモドメインタンパク質との共局在の特徴を明らかにした。また、ヒストンH4の高アセチル化認識抗体について試験管内蛋白質合成系で重鎖および軽鎖を生合成し、Fabの試験管内再構成とその機能解析を行った。さらに、従来のChIP-seqにおけるシグナル検出効率を改善させるための新規技術開発をめざして、Fabの変異体タンパク質を調製し、ChIPにおいてそれらの活性を試験管内系で比較評価した。
1: 当初の計画以上に進展している
当初立案していた研究計画の主要内容について予想以上に研究が進展し、論文が受理されるに至ったため。
基本的に当初計画通りに進める。ただし今年度は研究内容が予想以上に進展したため、疾患関連細胞における新規のエピゲノムの特徴解析にも着手する予定である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
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