研究課題
本年度は、①「OX1R作動薬の薬物設計と合成」と②「見出した作動薬のin vivo薬理試験」について研究を行った。①OX1R作動薬の薬物設計と合成昨年度までにモルフィナン骨格を有するオレキシン受容体拮抗薬から作動薬への活性転換を目指し、作動活性に寄与する構造の付与と拮抗活性に寄与する構造の探索の2つのアプローチを実施したものの、モルヒナン骨格の大部分が拮抗活性に寄与していることが明らかとなったため、本年度は我々が見出した別の拮抗薬の骨格とモルヒナン骨格の比較から新たな骨格を分子設計し、作動活性に寄与する構造を連結した誘導体Xを合成した。誘導体Xのオレキシン受容体に対する活性を評価したところ、OX2RのみならずOX1Rにも作動活性を示すことが明らかとなった。OX1Rに作用する新たな骨格を同定できたため、続いて誘導体Xからさらなる誘導展開を行った。これまでの誘導体の構造活性相関の結果から、作動活性に寄与する構造は特にOX2Rの作動活性を誘導することが示唆されたため、作動活性に寄与する構造の変換に集中的に取り組んだ。その結果、極性官能基を除去し、分子量を削減した部分構造とすることで、未だ活性は弱いもののOX1R選択的作動薬の創製に成功した。②見出した作動薬のin vivo薬理試験本年度見出した誘導体Xの量的供給法を確立し、500mgのサンプル供給が可能となったため、野生型マウスにおける行動薬理学実験を実施した。夜行性のマウスは明期に睡眠を取るため、誘導体Xを明期中盤(ZT-6)に経口投与し、その後の睡眠覚醒の状況を脳波筋電図解析により観察した。その結果、プレリミナリーな結果ながら薬物投与群では投与後1時間の覚醒時間がvehicle投与群と比較して延長していることが示唆された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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