研究課題
本研究では、研究代表者らがこれまでに確立してきた蛍光プローブのデザイン・合成の技術を「創薬・臨床医学の研究分野」を出口として応用することを目指し、①低酸素環境を検出する蛍光プローブの開発とその応用、②グルコーストランスポーター(GLUT)を介して細胞内に取り込まれる蛍光プローブの開発と応用、③硫化水素(H2S)及びサルフェン硫黄の産生酵素に対する阻害剤の探索、の3つの研究項目を行う。これによって、疾患の蛍光イメージングの研究分野及び、蛍光プローブを用いた疾患関連酵素の阻害剤ハイスループットスクリーニング(HTS)の研究分野を大きく進展させることを目的としている。平成30年度は、研究項目①については開発した蛍光プローブの生細胞や実験動物への応用を、研究項目②については生細胞への応用を通して蛍光プローブの構造の最適化を、研究項目③については開発した阻害剤の阻害機構の解明を行うと共に、実際に生細胞への応用を行った。平成30年度には、研究項目①については、低酸素近赤外蛍光プローブazoSiR640を完成させ、論文発表を行った(Chem. Commun., 54, 6939-6942 (2018))。研究項目②については、GLUTを介して細胞内に取り込まれるactivatableな蛍光プローブの基礎骨格を開発することに成功し、論文発表を行った(Bioorg. Med. Chem., in press)。研究項目③については、これまでに開発に成功した酵素阻害剤の更なる構造展開とその阻害活性の精査を行った。
1: 当初の計画以上に進展している
平成30年度は、当初、目標に掲げた3つの研究項目:①低酸素環境を検出する蛍光プローブの開発とその応用、②グルコーストランスポーター(GLUT)を介して細胞内に取り込まれる蛍光プローブの開発と応用、③硫化水素(H2S)及びサルフェン硫黄の産生酵素に対する阻害剤の探索、について、①と②については新たな蛍光プローブの開発に成功し、学術論文を発表したことから当初の目的を達成したと考えている。③については、これまでにハイスループットスクリーニングによって見出した阻害剤の阻害機構についての検討と生細胞への応用を行っている。これらのことから、当初の研究計画以上に進展しているとした。
平成30年度は当初の研究計画以上に進展したため、今後は当初の予定通りに研究計画を進めると共に、開発した蛍光プローブや阻害剤を広く研究者へと供与することで、開発したケミカルツールが真に有用であることを示していく。
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