研究課題/領域番号 |
16H05100
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
谷口 陽祐 九州大学, 薬学研究院, 准教授 (00452714)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 核酸医薬 / 人工核酸 / アンチジーン法 / 非天然型3本鎖DNA |
研究実績の概要 |
化学修飾したオリゴヌクレオチドは、特定の遺伝子の発現過程に直接作用して制御することができ、「核酸医薬」として臨床応用に向けた研究がなされている。多様な機能を有するRNAは、遺伝子発現制御には画期的な標的であるが、RNA調節機構の複雑さから、今後はRNA制御の根幹となるDNAを標的とした創薬開発の重要性が再認識されると考えられる。申請者はこれまでに、2本鎖DNA標的に配列特異的に3本鎖DNAを形成可能な独自の人工核酸を創製し展開してきた。本研究では、「3本鎖DNA形成による遺伝子発現制御法を基盤とした核酸医薬」の構築を目的とし、3本鎖DNA形成オリゴヌクレオチドの細胞内での安定性や利用率を高めるための化学修飾を施した機能性補助核酸の創製と人工核酸技術と融合させ、核酸医薬の基盤構築を目指した。今年度は、TA塩基対のTのカルボニル基と一カ所の水素結合により人工核酸を固定し、追加の水素結合サイトを導入する事で安定性の向上を行い、TA認識分子を分子設計した。合成は、ヨードウラシルのクロロ化、糖部との縮合反応、位置選択的なアミノ化反応により水素結合ユニット(アミノピリミジン)の導入を行い目的物を得ることに成功した。この水素結合ユニットを種々変更することで、様々な誘導体合成が可能である。アンモニア-メタノールを用いたアミノ基の導入し、塩基部分のアミノ基の保護と、糖部分の水酸基をホスホロアミダイト化することによりDNA自動合成装置に導入可能な誘導体へ変換しオリゴヌクレオチドに組み込んだ。3本鎖形成能の評価により、配列に依存するがTA塩基対の選択的な認識に成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度はTA塩基対認識分子を新たに見いだし、その機能の確認に成功した。分子設計や合成に成功し期待以上の結果が得られている。一方で、計画しているブースター核酸の基礎検討で興味深い結果を得ている状況でとどまっているため、全体としてはおおむね順調に進呈している。
|
今後の研究の推進方策 |
順調に進んでいる計画と進んでいない計画がある。そのため、今後は進んでいない方の計画で報告ができる結果が得られるように研究を進めていく予定である。
|