研究課題
我々はすでにSurface Plasmon Resonance (SPR) assayおよびTR-FRET assayによりホモシスチンがPPARalphaの活性を阻害することを見出していたが、本年度はホモシスチンがPPARalphaタンパク質に直接作用する可能性を考えて、共結晶の作成とそのX線構造解析のための実験を開始した。本科研費により大腸菌を低温培養して増やす恒温振とう培養機、リコンビナントタンパク質を精製する低圧クロマトグラフィーシステム、そして得られた精製タンパク質を定量するための吸光度プレートリーダーを購入できたおかげで、自研究室にてPPARalphaタンパク質の精製が可能となり、さらに連携研究者である山梨大・大山拓次准教授によるタンパク質精製、結晶化、結晶構造解析における多大なサポートを得て、全くゼロからの作業からスタートし様々な結晶化方法を検討の末、一部のPPARalpha結晶を得ることに成功した。そして一部の大きな結晶については、播磨Spring8のでのX線構造解析を終了し、その構造を明らかにすることができた。そのうちの一部結晶は、過去に報告されている全てのPPARalpha結晶構造よりも高解像度での解析に成功している。今までPPARalphaについては、他のPPARサブタイプに比べてリガンド(アゴニストあるいはアンタゴニスト)との共結晶の解析が遅れていたが(おそらく結晶化が難しいため)、我々が行ったSoaking法を利用すれば、今まで難しかったPPARalphaリガンドとの結晶化も可能になることが期待される。
1: 当初の計画以上に進展している
全くゼロから新規実験からスタートし、様々な結晶化方法を検討の末、一部のPPARalpha結晶を得ることに成功した。そして一部結晶については、播磨Spring8のでのX線構造解析を終了することができた。
今後は、共結晶あるいはSoaking法により、各種PPARリガンドとの共結晶を作成し、X線構造解析を行う。各アゴニスト結合型PPAR活性化フォームに対して、ホモシスチンがどのようにアプローチし、活性化阻害に至るかを明らかにする。
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すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 5件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
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