研究課題
昨年までの検討の結果、突然変異検出用遺伝子導入マウスgpt deltaマウスに酸化ストレス誘導剤・臭素酸カリウムを90日間経口投与すると、小腸において、gpt遺伝子の406番塩基GのTへの置換(G>T)が0.6 g/Lの用量で検出された。この周辺の塩基配列はTGAAであるが、G>Tは8-oxo-Gの生成を特徴付ける突然変異であり、この配列でのG>Tは臭素酸カリウムが誘発する小腸腫瘍でも検出された。TAGG配列での8-oxo-Gの生成が腫瘍発生の原因である可能性が考えられた。gpt deltaマウスに0.6および2 g/Lの用量で臭素酸カリウムを4週間投与したところ、406番塩基での8-oxo-G生成が、谷口ら(Angew Chem Int Ed Engl. 2015;54:5147-51)が開発したprimer extension法を用いて検出された。G>Tが発生する用量での8-oxo-G生成が確認され、8-oxo-Gの生成が腫瘍発生の原因となる可能性を示す知見を初めて得ることができた。昨年までに、DNAミスマッチ修復酵素であるMsh2遺伝子の欠損マウスとgpt deltaマウスを交配したMsh2-KO gpt deltaマウス、および同様の突然変異検出用マウスであるrpsL Tgマウスから作出したMsh2-KO rpsL Tgマウスに、臭素酸カリウムを1.5 g/Lの用量で4週間経口投与し、小腸における突然変異のスペクトルを解析した。その結果、両方のマウスでA塩基の連続配列での一塩基フレームシフト変異が共に高頻度に検出された。この突然変異はMsh2遺伝子の欠失を特徴付ける突然変異のホットスポットであることが明らかになった。Msh2遺伝子およびgpt遺伝子導入の位置は共に17番染色体であるため、17番染色体上で相同組換えが発生している可能性があった。次世代シークエンサーにより全ゲノム解析を行ったところ、Msh2遺伝子とgpt遺伝子は共に17番染色体上に存在しており、予想通りの相同組換えの発生が確認された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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