研究課題/領域番号 |
16H05118
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
篠田 晃 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40192108)
|
研究分担者 |
柳井 章江 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20284854)
藤永 竜太郎 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30335723)
Md・Nabiul Islam 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80759671)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 斑点小体 / 中心体周囲物質 / 脳 / 脊髄 / 中心小体 / 神経変性 |
研究実績の概要 |
GFP-HAP1を中枢神経特異的に遺伝子導入した Tgマウスのラインを増やして脳内発現分布を免疫組織化学的に解析した。そのうち視床下部や線条体や海馬など本来発現していない部位に発現が見られた細胞を有する2ラインについて、維持をすることとした。脳と培養細胞でPCM1、γtubulin、Httの局在がHAP1の発現により、PCM1はSTBに局在を移し、γtubulinから外れ、Httは培養細胞では中心体から全体に広がり、脳内ニューロンでは元々diffuseでTg-mouseでも同様であることがわかった。また、HAP1のKO mouseのホモ作製に成功した。しかし、KO mouseは生後2日以内に死亡する事がわかり、このためKO mouseを用いた免疫組織化学的比較検討では、生直後のPCM1、γtubulin、Httの局在について行う方向に修正した。そこで生直後のHAP1の機能評価が出来る系としてHAP1発現の一次嗅覚系の脳内移動ニューロン群を同定した。またHAP1の神経変性保護作用をin vivo脊髄で検証するため、免疫組織化学的検討を行った。神経変成疾患の標的領域である脊髄でのHAP1発現の解析結果として、HAP1が脊髄後角や側角やその他多くの層領域のニューロンには発現しているが、横紋筋支配の運動ニューロンには特異的に発現していない事を明らかにし、変性に対する運動ニューロンのストレス脆弱性を裏付けることを報告し論文発表を行った。行動評価の実験は、運動試験(ぶら下がりテスト、握力、足跡の分析、ロータロッドテスト等)について解析装置の設置がなされ実施可能な状態になり、試行を行っている。さらに行動試験(明暗選択テスト、オープンフィールドテスト、高架式十字迷路テストなど)についても準備が始まっている。老齢マウスを現在飼育中で1年近くのものや1年以上の年齢のマウスが増えて来ている状況にある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GFP-HAP1の Tgマウスは全部で7ラインまで増やし、脳内での発現分布の免疫組織化学的解析を行った。分布パターンはそれぞれ異なり、視床下部や線条体や海馬など本来発現していない部位に発現が見られた細胞を有する2ラインの維持を開始した。しかし脳幹・脊髄のin vivo神経変成疾患標的細胞であるアセチルコリン運動ニューロンにはトランスジーンが入らず、新たな計画でTgマウスの作製を始めた。一方、脊髄でのHAP1は、脊髄後角や側角やその他多くの層領域のニューロンには発現するが、横紋筋支配の運動ニューロンには特異的に発現しない事が明らかとなり、変性に対する運動ニューロンのストレス脆弱性を裏付けることとなった。脳と培養細胞でPCM1、γtubulin、Httの局在がHAP1の発現により、PCM1はSTBに局在を移し、γtubulinから外れ、Httは培養細胞では中心体から全体に広がり、ニューロンでは元々diffuseでTg-mouseでも同様であることがわかった。また、HAP1のKO mouseのホモ作製に成功した。しかしながら、KO mouseは生後2日以内に死亡する事がわかり、KO mouseの使用は生直後に限られ、PCM1、γtubulin、Httの局在について免疫組織化学的検討を行う事とした。これにより解析が少し遅れたが、生直後のHAP1の機能評価が出来る系としてHAP1発現の一次嗅覚系の脳内移動ニューロン群を同定し、方向性を修正した。行動評価の実験は、現在、運動試験(ぶら下がりテスト、握力、足跡の分析、ロータロッドテスト等)について解析装置の設置がなされ、試行を行っている.さらに行動試験(明暗選択テスト、オープンフィールドテスト、高架式十字迷路テストなど)についても準備が始まっている。老齢マウスを現在飼育中で1年近くのものや1年以上の年齢のマウスが増えて来ている状況にある。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、in vivoでHAP1発現がない場合と外来性にHAP1を発現させた場合での、PCM1、γtubulin、Httの局在変化の検証や細胞変性・アポトーシス脆弱性への効果の検討、運動・行動への影響の検討を行う点で、Tg-mouseラインとHAP1のKO mouse作製は重要な進展であったが、問題がいくつかあり方向性の修正も行う。まずKO mouseについては、生直後に死亡するため、生後一日目でHAP1の機能を解析できるHAP1発現の1次嗅覚系の細胞移動を指標にすることを考案している。Tg-mouseについてもGFP-HAP1が機能保持に疑問を投げかけるデータが一部出ている点と今回は残念ながらアセチルコリン運動ニューロンに入ったラインがなかったという点で、現在GFPのないHAP1を目的部位に発現させるTg-mouseの作製を試行している。今後の実験は、WTとHAP1-TgおよびHAP1-KO新生仔マウス脳間とそのプライマリーカルチャー間で比較しHAP1によるγ-tubulin及びPCM1,Httらの局在変化の免疫組織科学的解析を行い、上手く進めば、HAP1-KOマウス由来の培養神経細胞にHAP1cDNAを導入すると上記分子がどう変化するかまで解析を進めたい。また3者の脳や神経培養でプロテアソーム阻害剤(MG132、ラクタシスチンなど)処理によるストレス脆弱性について、カスパーゼの活性化を指標に定量解析しアポトーシス誘導効果を比較する。加齢ストレスとして、野生型老齢マウスと老齢HAP1-TGマウスを用い、脳組織変性やアポトーシスの組織学的評価(TUNEL染色、カスパーゼ染色)を比較検討する。加齢ストレスによる運動機能及び行動機能について野生型老齢WTマウスと老齢HAP1-TGマウス間で、運動試験と行動試験による解析について進める。
|