研究課題
我々は線虫rsd-3遺伝子の変異により全身性RNAiが起こりにくくなることを見出した。この現象は、細胞外からのdsRNAの取り込みプロセスに関わっていると考えている。このメカニズムを解明するために、rsd-3変異体のサプレッサーをスクリーニングした結果、亜鉛輸送体(ziptタイプ)を見出した。亜鉛濃度検出用のFRETプローブを用いて体外に高濃度亜鉛を投与した時の腸管細胞内亜鉛濃度の時間経過を調べたところ、この遺伝子の変異体では、野生型とは異なる反応パターンを示すことが分かった(野生型で濃度が上昇する時に反応が遅いなど)。一方で、この輸送体には、ヒトでも、線虫でも多くのホモログが存在しており、各々の遺伝子の変異体をrsd-3変異体と交配して、抑圧効果を検証したが、見出した遺伝子以外の亜鉛輸送体では同様の表現型がなかった。亜鉛濃度が重要としても、単に細胞質での濃度に依存しているのではなく、より局所の濃度に依存して調節されている可能性が考えられる。そこで、亜鉛に結合するドメインを有するタンパク質などをデータベースで選別し、脂質輸送体関連分子も合わせて221個の遺伝子の変異体について、systemic RNAiの表現型を調べた。15種類はRNAiが効きやすく、5種類はRNAi抵抗性が見られた。一部については、rsd-3抑圧効果も確認できた。これらのタンパク質のどれかが亜鉛輸送体で運ばれた亜鉛が制御しているタンパク質である可能性があり、局在や機能を絞り込む予定である。
2: おおむね順調に進展している
我々が発見したrsd-3変異体の抑圧分子の作用機序が少しずつ明らかになると共に、その関連分子の同定も前進した。
候補分子のrsd-3抑圧効果が他の全身性RNA干渉に関わる分子との関係で明らかになるつつある。さらに、関連分子の局在と亜鉛の濃度調節による活性制御の関係や、候補亜鉛輸送体の構造機能相関をキメラタンパク質発現を用いて明らかにする予定である。
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