研究課題
① SERTΔCT の取り込み活性を上昇させる膜輸送活性化薬物のスクリーニング法の開発1) 蛍光標識SERT 基質用いたハイスループットスクリーニング法開発への取り組み:非ステロイド系抗炎症薬のFlurbiprofenが本スクリーニング法にてSERTの膜輸送を活性化して取り込み活性を上昇させることがわかった。Flurbiprofenは自身の持つケミカルシャペロン活性を発揮してこのような効果を持つものと考えられた。また、HSP誘導剤である潰瘍薬の効果を本検索法で検討したところ、Carbenoxoloneが同様な機序でSERT取り込み活性を上昇させることがわかった。2)SERTΔCT の凝集体形成を指標にした膜輸送活性化薬のスクリーニング法の開発:ハイコンテント顕微鏡OperaPhenixを用いてSERTΔCTの凝集対形成を認識させ、各種薬物の凝集体形成に対する効果を判定する実験手法を確立した。前述のFlurbiprofen、CarbenoxoloneはともにSERTΔCT の凝集体形成を抑制することが本検索法で明らかになった。このように、ERストレス緩和作用を持つ薬物の候補を見つけることができた。② 薬物により変動する遺伝子群のcDNAアレイによる網羅的解析シグマ受容体アゴニストのSKF-10047処置による遺伝子変動を解析し複数の有力なSKF-10047のターゲットと思われる遺伝子を同定した。その中でも、膜輸送に関与するSNARE蛋白の一つであるsyntaxin 3が実際にSKF-10047処置により発現が上昇することがわかった。
2: おおむね順調に進展している
蛍光標識SERT 基質用いた計測方法、SERTΔCT の凝集体形成を指標にした計測方法、を確立し、その検索法を用いることにより、複数のERストレス緩和作用を持つと考えられる薬物を同定した。薬物により変動する遺伝子群のcDNAアレイによる網羅的解析に着手し、膜輸送活性化作用を持つSKF-10047の標的と考えられるタンパクを同定することができた。
確立されたスクリーニング法を用いて、さらに薬物検索を進めていく。新たなSERTΔCTの活性を評価する方法として、SERTΔCTの発現細胞に取り込まれたセロトニンをセロトニン抗体で認識させて評価することを試みる。cDNAアレイによる網羅的解析、薬物結合タンパク質の検索をさらに進める。
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