研究課題
A:PPARγがLPA4-KOマウスの表現型へ寄与する度合いについてピオグリタゾンなどのPPARγアゴニストをマウスに投与すると、脂肪細胞のPPARγの機能を薬理学的に亢進させ、血中アディポネクチン濃度を上昇させることができる。本研究ではKubotaらの方法(Sci. Rep. 6, 34707 [2016])に従って、オリエンタル酵母社製マウス通常餌MFの粉末に重量比で0.02%の割合でピオグリタゾンを加え、これを個別飼育の野生型マウスとLPA4-KOマウスに1週間摂取させた。この措置によって、LPA4-KOマウスとWTマウスは同等のアディポネクチン濃度の上昇を示すことが明らかとなった。一方、ピオグリタゾン不含餌を摂取させた陰性対照群では、過去の結果と同様に、LPA4-KOマウスではWTマウスよりも血中アディポネクチン濃度は高かった。結果、ピオグリタゾンを摂取したLPA4-KOマウスの血中アディポネクチン濃度は、依然としてWTマウスよりも高い状態が維持されていた。以上の結果は、LPA4-KOマウスの脂肪細胞では、PPARγの活性化とは別のメカニズムでアディポネクチンの産生上昇が起きることを示唆している。B:アディポネクチンがLPA4-KOマウスの表現型へ寄与する度合いについてアディポネクチン-KOマウスを米国ジャクソン社から輸入し、LPA4-KOマウスと交配して二重KOマウス、LPA4単独KOマウス、アディポネクチン単独KOマウス、野生型マウスの4群を獲得した。現在、更なる解析のためにこれらマウス群を繁殖中である。
2: おおむね順調に進展している
実験系の確立は順調であり、研究課題の達成に支障を来す問題は生じていない。今年度以降は、実験を繰り返し論文発表に向けてデータを蓄積する予定である。
引き続き研究計画に沿って、LPA4に共役するG12/13に由来する細胞内シグナルが引き起こす「PPΑRγの機能抑制」「ミトコンドリアの生合成関連遺伝子の発現抑制」「アディポネクチン産生抑制」という3 つの抑制現象の相関関係を分子生物学的に明らかにする。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
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