長期記憶の形成機構を解明するために、電位依存性Caチャネルと遺伝子転写に重要なヒストン修飾との連関を追究した。Caチャネル副サブユニットbetaが核内において、転写因子TCF4と結合し、TCF4とbeta catenin との相互作用を妨げ、遺伝子転写を抑制することがわかった。また、phosphatase 2Aの活性制御サブユニットであるB56deltaとbetaが形成する複合体の生理的意義の解明も進め、本複合体が核に移行し、G1/S期の遷移を進行させ、細胞増殖を促進させることがわかってきた。前シナプスのCaチャネル-RIM-シナプス小胞の複合体形成にも、betaが要であることも分かった。
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