RNautophagy/DNautophagy (RDA)は、我々が以前見いだした新しい細胞内分解経路で、オートファジー経路の1つ、膜透過型オートファジーである。RDAにおいては、RNAやDNAがATP存在下において直接リソソームに取り込まれ、内部で分解される。また昨年度までに、リソソーム膜におけるputative RNA transporterとして、SIDT2を同定し論文報告した (Aizawa et al. Autophagy. 2016)。SIDT2がDNautophagyを仲介することも見いだした (Aizawa et al. Autophagy. 2017)。SIDT2は、RNA transporterとして機能する線虫SID-1のオルソログの1つであり、RDAにおいて重要な分子である。昨年度に引き続き、RNautophagyの生理機能解明に向けてSIDT2 KOマウスの解析、RNautophagy により分解される細胞内基質の同定、神経変性疾患関連RNAへのRNautophagyの影響について進めた。細胞内基質としては、ハンチントン病の原因遺伝子であるHTT (huntingtin)のmRNAを見いだし、RNautophagyの活性化によりHTT mRNAの分解が促進されることを明らかにした (Hase et al. Autophagy. 2020)。SIDT2 KOマウスの詳細な解析の結果、縁取り空胞を伴うミオパチーの病態を示すことがわかった。さらに、ヒトの縁取り空胞を伴うミオパチー家系において、SIDT2の変異を発見した。この変異はドミナント・ネガティブ変異であることを示した。
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