研究課題
これまでの解析から、転写因子GATA2は急性腎臓病時の腎内炎症を活性化させる機能をもつことがわかった。そして、複数の炎症性サイトカイン遺伝子の発現が、GATA2の影響下に制御されることがわかった。本年度は、GATA2欠損が全身的な炎症に与える影響についても解析を進めた。グラム陰性菌内毒素であるリポ多糖(LPS)投与による急性の敗血症誘導に対して、GATA2へテロ欠損マウスは野生型コントロールと比較して有意に耐性を示した。敗血症時には、ヒスタミン産生亢進がアナフィラキシーショックや肺水腫をもたらす。そこで、ヒスタミン産生の律速酵素であるヒスチジン脱炭酸酵素遺伝子座を含むBAC DNA(大腸菌人工染色体)を用いたGFPレポータートランスジェニックマウス(Hdc-GFPマウス)を樹立し、生体内でのヒスタミン産生細胞モニターリングを試みた。その結果、LPS誘導性敗血症時には、肺にヒスタミン産生細胞が最も顕著に遊走されることが分かった。さらに、GATA2へテロ欠損マウスではヒスタミン産生細胞の遊走が軽減した。これらの結果から、GATA2は敗血症時の肺への炎症細胞浸潤とヒスタミン産生を亢進させる因子であることが示唆された。次に細菌感染による敗血症モデルとして、盲腸結紮穿孔(CLP)腹膜炎誘導に対するGATA2へテロ欠損マウスでの症状を検討した。その結果、GATA2へテロ欠損マウスはCLP腹膜炎による急性期の炎症誘導に対しては耐性を示すが、その後の病期には腹腔内の細菌感染の遷延とそれに伴う慢性炎症を示すことが分かった。これらの結果から、GATA2は炎症性サイトカイン産生亢進による急性期炎症惹起にかかわる機能があるが、病原細菌に対する防御機構を担う機能も持つことがわかった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Genes to cells
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Molecular and Cellular Biology
巻: 38 ページ: 21-21
doi: 10.1128/MCB.00302-18
http://www.tohoku-mpu.ac.jp/medicine/lab/dmbc/
http://www.tohoku-mpu.ac.jp/university/news-university/12257/