研究課題
本年度の研究により、大脳皮質の損傷に伴い、損傷部位近傍のアストロサイトにおいてbFGFやIL-1βによりRor2が発現誘導され、アストロサイトの増殖を促進するが、増殖性アストロサイトはRor2依存的にニューロンのシナプス形成を促進する因子を発現・分泌して損傷部位近傍のニューロンの生存を維持することが示唆された(未発表)。また、bFGFやIL-1βによるアストロサイトでのRor2の発現誘導にはATP依存的クロマチンリモデリング因子が関与することが示された(未発表)。また、骨格筋では組織幹細胞である衛星細胞(SC)においてRor1が選択的に発現しており、骨格筋損傷に伴いIL-1βなどによりRor1の発現が亢進し、SCの増殖、分化を制御することにより損傷修復に重要な役割を担うことを明らかにしていたが、本年度の研究により、骨格筋における他の組織幹細胞である間葉系幹前駆細胞(MPC)ではRor2が選択的に発現しており、Ror2がMPCの脂肪細胞分化を制御することを明らかにした(未発表)。さらに、本年度の研究により、悪性胸膜中皮腫細胞(MPM)において、その組織型により様式は異なるがRor1とRor2が高レベルで発現しており、Ror1やRor2を介するシグナルはRac1、Cdc42を活性化し、MPMの細胞増殖や浸潤を促進することを明らかにした(Genes Cells. 2018)。また、大腸癌細胞(CRC)では繊毛内輸送タンパク質であるIFT20の発現が亢進しており、CRC集団での先導細胞においてIFT20がゴルジ体やゴルジ由来微小管の極性を制御し、CRCの集団的浸潤において重要な役割を担うことを見出した(Cancer Sci., 2019)。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件) 備考 (1件)
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http://www.med.kobe-u.ac.jp/medzoo/index.html