研究実績の概要 |
生後1日に抗PDGFRβ抗体(クローンAPB5)を腹腔内に単回投与されたマウスの網膜では、血管壁のペリサイト消失に伴い、生後6日にマクロファージ浸潤、生後8日に血管透過性亢進、生後10日に網膜剥離が連続的に惹起される(Ogura et al. JCI Insight 2017)が、平成30度の研究により、生後14日以降に網膜下の線維化が進行することが明らかとなった。線維化組織では、ペリサイトと網膜色素上皮細胞に由来する筋線維芽細胞の周囲に、多数のマクロファージが浸潤することが明らかとなった。こうした過程では、生後14日にIL-6, CCL2, TNFαの発現が、生後21日にIL-4. IL-10, IL-13の発現が上昇することが明らかとなった。さらに、生後14日から生後21日かけてマクロファージの極性が劇的に変化することが明らかとなった。さらに、網膜内を表層から深層に移動するマクロファージから分泌されるシグナル分子が、網膜色素上皮細胞に作用し、外側血液網膜関門を破綻させることが明らかとなった。こうした研究成果から、ペリサイトを消失した網膜では、マクロファージを軸とした炎症と線維化が進行すると考えられた。
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