研究課題/領域番号 |
16H05164
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
國安 弘基 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00253055)
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研究分担者 |
佐々木 隆光 福岡大学, 医学部, 講師 (00382284)
北台 靖彦 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (10304437)
千原 良友 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (40405395)
大森 斉 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (80213875)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | タイトジャンクション / クローディン / 抗クローディン4抗体 / 化学療法増感 / 胃癌 / ピロリ菌感染 |
研究実績の概要 |
これまでに樹立した抗claudin-4細胞外ドメイン抗体がtight junctionの有するフェンス効果・バリア効果の両面を障害することにより、癌微小環境内の増殖因子など癌促進物質の流出・低下と抗がん剤の癌組織内移行の促進をもたらすことが、通常のADCC活性に加えて認められ、有効な抗腫瘍効果が得られることを報告した。抗がん剤よりもより分子サイズの大きい抗体の癌組織内移行への抗claudin-4抗体の効果を検討した。ヒト大腸癌細胞株HT29を用いた重層培養系における検討では、抗EGFR抗体単独処理時に比較し抗claudin-4抗体を併用することにより、抗EGFR抗体の分布および細胞増殖抑制効果は約3.6倍に増大した。Spheroid培養系でも抗EGFR抗体・抗claudin-4抗体の併用により増殖抑制効果が4.2倍に増大した。さらに、ヌードマウス皮下腫瘍系でも抗EGFR抗体・抗claudin-4抗体の併用により腫瘍増大は抑制された。このように、抗claudin-4細胞外ドメイン抗体は他の抗体治療薬に対しても効果促進効果を有することが示唆された。 胃癌においては、claudin-4は未分化型で分化型よりも強い発現低下が認められた。また、claudin-4発現はT因子と逆相関を示した。分化型ではいずれの因子とも相関は認められなかったが、未分化型ではclaudin-4発現はT因子と逆相関を示した。claudin-4発現とCDX2の発現を検討すると、CDX2陽性症例で有意に高かった。CDX2陽性症例では、claudin-4発現はいずれの因子との間にも相関は見られなかったが、陰性例では組織分化度、stage、T因子と逆相関していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
標的臓器癌の選定、増感治療法の拡大はほぼ計画通り進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に従い、増感治療法の拡大と安全評価モデルの開発を行う予定である。
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