研究課題
本研究は膵臓がん/膵頭領域がん切除組織よりがん細胞のオルガノイド培養を行い、これまでの二次元培養とは異なる、より生体内に近い、三次元的なマトリックス中で増殖したがん細胞について、網羅的な分子プロファイリングと動的な分子ネットワーク相互作用の解析をする事で、がん細胞の表現型に直接関与するエフェクター分子を明らかにし、それらの分子診断治療標的化を検討して、新たな診断バイオマーカー、分子治療標的を同定する事を目的としている。平成31年/令和元年度までに膵臓がん、膵頭領域がん切除材料からのオルガノイド培養を精力的に行い,培養条件の検討、新たな培養プロトコールの実践等からオルガノイド培養ラインを樹立し、腫瘍の次世代型シーケンサーによるエクソーム解析による遺伝子変異プロファイリング,変異プロファイリング解析による候補ドライバー分子の同定、ドライバー分子関連信号伝達経路のインシリコマイニングによる標的信号伝達経路の同定からオルガノイド培養細胞を使用したドライバー分子関連信号伝達経路の蛋白プロファイリング、特異的抑制剤による表現型変化の解析、さらなるドライバー関連信号伝達経路分子の免疫ブロットによる活性変化の解析により、ドライバー分子関連信号伝達経路分子で細胞表現型に直接関与するとみなされる分子治療標的候補を同定した。同成果は研究代表者が第108回日本病理学会において行った日本病理学賞受賞講演にて一部発表し、また、米国ハワイ州で行われた第50回アメリカ膵臓学会・日本膵臓学会記念合同大会においてはトラベルグラントアワード(研究協力者である大学院生対象)を伴う口演発表課題に選出され、インパクトのある成果として認識された。
2: おおむね順調に進展している
計画通り分子治療標的候補を同定することができた。
同定した分子治療標的候補のさらなるキャラクタライゼーションと同時並行の樹立オルガノイド培養ラインの解析を進めることで、最終年度である次年度に成果の取り纏め、発表、論文化を行う。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
肝胆膵
巻: 79 ページ: 1117-1123
巻: 78 ページ: 759-763
胆と膵
巻: 40 ページ: 287-290