研究課題
これまでわれわれは肺癌の発生機序について、発生母地の生物学的違いに基づくtwo compartment modelを提唱してきた。近年他施設からもこのモデルによって説明可能となる結果が多く見出され、蓄積されつつある個々の知見が提唱しているモデルによって生物学的な意味をもって統合できる可能性を示している。本研究では、これまでの我々の解析で明らかにしてきたがん化機序とそのモデルとの関係を検証するとともに、4つのテーマ(#1.mutation loads/burden, #2. Unique translocations, #3. Cis-type amplification, #4. Stepwise progression model)に沿って検討を遂行することを企てている。初年度である平成28年度の進捗としては、課題#1について、次世代シークエンサーでの網羅的遺伝子変異検索をスタートし、mutation burdenの基礎となる遺伝子変異情報を蓄積した。課題#2については、ドライバー変異がない症例の抽出を完了し、RNA-seqを行うための症例抽出をほぼ終えるに至った。課題#3. Cis-type amplificationの検討は28年度は進めることができなかったが、課題#4についての基本構想については、著作の1つの章としてその基本となる概念および仮説をまとめることができた。課題#4については、その仮説についてのreview articleの構想について海外研究者と協議している。これら課題#1-4の検討を通して、統合的にがん化機序と提唱モデルの検証するととともに、さらに発展させていきたい。
2: おおむね順調に進展している
4つのテーマ(1.mutation loads/burden, 2. Unique translocations, 3. Cis-type amplification, 4. Stepwise progression model)に沿って検討を遂行する計画であるが、課題#1について、次世代シークエンサーでの網羅的遺伝子変異検索をスタートし、mutation burdenの基礎となる遺伝子変異情報を蓄積した。課題#2については、ドライバー変異がない症例の抽出を完了し、RNA-seqを行うための症例抽出をほぼ終えるに至った。課題#3. Cis-type amplificationの検討は28年度は進めることができなかったが、課題#4についての基本構想については、書籍の章としてその基本となる概念および仮説をまとめることができた。課題#3を除いてはおおむね順調に進展していると考えている。
課題#1については、変異情報の蓄積を進めるとともに、それらを解析する手法について情報処理的な側面からアプローチしていきたい。それには情報処理の知識が不可欠であり、専門研究者との共同研究の可能性についても模索していきたい。課題#2については、症例抽出を完了するとともに、一部の症例でRNA-seqを施行していきたい。RNA-seqについては現在施行していないため、解析方法についても検討を企てたい。課題#3については、獲得耐性であるT790MはEGFR変異とcis-typeの変異を来すことが知られているが、この変異を用いてcis-type変異と遺伝子増幅との検討を行うことで、この課題の足がかりとしたい。課題#4については、これまで蓄積されている知見をモデルに当てはめて網羅的に再検討を行い、このモデルの概論についての構想を更に発展していきたい。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 5件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 5件) 図書 (2件)
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