研究課題
がん転移はリンパ管や血管を通して起こるが、リンパ行性転移は血行性転移よりも病初期段階において進行が認められる。そのためがん患部からのリンパ液が最初に流れ着くリンパ節(センチネルリンパ節)に注目し、リンパ節内のがん細胞の有無を高確度で調べることは、がん転移早期診断や根治にとって極めて重要である。本研究では、1.蛍光とX線CTを融合したマルチモーダルイメージングにより、がん患部に接続するセンチネルリンパ節を高精度で特定する方法の開発、2.センチネルリンパ節に微小転移したがん細胞を逃さず検出する方法の開発、3.リンパ節内に転移したがん細胞の増殖や浸潤の様子を可視化しリンパ節転移が他臓器へ拡大する機序の解明、を行うことを目的とする。平成28年度は、「量子ドット内包シリカ粒子(量子ドット/シリカ)」と「微小金ナノ粒子」を合成し、両者を適切な量比で反応させることにより、両粒子がほぼ1:1で結合した「量子ドット/シリカ/金ナノ粒子」を合成した。平成29年度はこの結果を受け、「量子ドット/シリカ/金ナノ粒子」の蛍光能およびX線吸収能の特性をin vitroにて詳細に調べた結果、シリカコーティングは量子ドットの蛍光能を阻害することはなかった。また「量子ドット/シリカ/金ナノ粒子」の金ナノ粒子に由来するX線吸収能を評価した結果、想定した吸収性を保持することが認められた。さらに、マウスの足背にがん細胞を移植した担がんマウスに対し、腫瘍部位に「量子ドット/シリカ/金ナノ粒子」を注入した結果、センチネルリンパ節に相当する膝窩リンパ節を蛍光とX線CTでマルチモーダルイメージングすることに予備的に成功した。
2: おおむね順調に進展している
交付申請書では「量子ドット/シリカ/金ナノ粒子」の蛍光能およびX線吸収能の特性をin vitroにて詳細に調べ、in vivo計測に備えた基盤データの取得を行うこと、さらにこの粒子で蛍光とX線CTによる同一転移リンパ節のマルチモーダルイメージングを行うこと、を目指しており、計画の目的をおおむね達成しているため。
合成した「量子ドット/シリカ/金ナノ粒子」を用いたマルチモーダルイメージングにより、センチネルリンパ節に微小転移したがん細胞を逃さず検出する方法の開発、リンパ節内に転移したがん細胞の増殖や浸潤の様子を可視化しリンパ節転移が他臓器へ拡大する機序の解明、を行う。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
ファルマシア
巻: 54 ページ: 36-40
Scientific Reports
巻: 7 ページ: 7509
10.1038/s41598-017-06534-z
http://www.medphys.med.tohoku.ac.jp/gondalab/index.html