研究課題
骨髄において、CAR細胞でIL-7遺伝子が破壊されるLepr-Cre IL-7cKOマウスを解析し、CAR細胞が多能性幹細胞からリンパ球までの分化を担うニッチとして働くことを明らかにした(Gomes, Hara et al, Immunity 45:1219, 2016)。CAR細胞、血管内皮細胞、血液細胞でIL-15遺伝子が破壊されるLepr-Cre、Tie2-Cre、Vav-Cre IL-15cKOマウスを解析し、血液細胞由来のIL-15がNK細胞、NKT細胞、メモリーCD8 T細胞の分化、成熟、維持、成熟に関与していることを明らかにした。胸腺において、胸腺上皮細胞と血管内皮細胞でIL-15遺伝子が破壊されるFoxn1-Cre、Tie2-Cre IL-15cKOマウスを解析し、胸腺髄質上皮細胞由来のIL-15がiNKT細胞の成熟に重要であり、特に新たに分画した2B4+ iNKT細胞の分化に必須であることを明らかにした。一方、血管内皮細胞由来のIL-15がCD8 T細胞とiNKT細胞の胸腺外移出を制御している可能性を示した。リンパ節およびパイエル板において、細網線維芽細胞と血管内皮細胞でIL-15遺伝子が破壊されるCCL19-Cre、Tie2-Cre IL-15cKOマウスを解析し、細網線維芽細胞由来のIL-15が1型自然リンパ球の維持に必須であることを明らかにした(Gil-Cruz et al, Nat. Immunol. 17:1388, 2016)。また、血管内皮細胞、特に高内皮細静脈由来のIL-15が、T細胞の遊走に関与している可能性を示した。肝臓において、肝細胞でIL-15遺伝子が破壊されるAlb-Cre IL-15cKOマウスを解析し、T細胞、NK細胞、NKT細胞の維持に関与していることを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
骨髄のIL-7については、B細胞について研究成果を発表するとともに、自然リンパ球についてもほぼ結論が得られつつある。腸管については、上皮内T細胞と粘膜固有層T細胞が減少するという表現型の結果が得られている。肝臓についてはNK細胞とT細胞が減少するという結果が得られている。以上のことから、ほぼ満足できる達成度と判断した。
骨髄のIL-15については、血液細胞を分画することで、どの血液細胞が産生するIL-15が、NK細胞、NKT細胞、メモリーCD8 T細胞の分化、成熟、維持、成熟に重要かを検討する。胸腺のIL-15については、2B4+ iNKT細胞ががん細胞の転移の抑制に関与しているかどうか、メラノーマ細胞の肺転移についてFoxn1-Cre IL-15cKOマウスを使って解析する。肝臓については、Alb-Creに加えてLysM-CreやTie2-Creも導入することで、肝細胞以外のマクロファージや血管内皮細胞由来のIL-15の機能についても検討する。腸管におけるIL-7、IL-15産生細胞の機能については、Villin-Cre IL-7cKO、IL-15cKO、IL-7/IL-15dcKOマウスの腸管上皮内リンパ球の生存と増殖に与える影響についての解析を進めていく。脂肪組織におけるIL-7、IL-15産生細胞の機能については、Adipoq-Cre IL-7cKO、IL-15cKO、IL-7/IL-15dcKOマウスの解析を進め、高脂肪食を投与後の脂肪蓄積についても解析を進める。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
Immunity
巻: 44 ページ: 1434-1443
10.1016/j.immuni.2016.05.012
Proc. Natl. Acad. Sci. USA.
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10.1016/j.immuni.2016.11.004
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