研究課題
骨髄において、骨芽細胞でIL-7遺伝子が破壊されるCol2.3-Cre IL-7cKOマウスを解析し、骨芽細胞が自然リンパ球の分化を担うニッチとして働く可能性を示した。CAR細胞、血管内皮細胞、血液細胞でIL-15遺伝子が破壊されるLepr-Cre、Tie2-Cre、Vav-Cre IL-15cKOマウスを解析し、血液細胞由来のIL-15がNK細胞の分化、成熟、維持に関与している可能性を示した。また、骨髄において、NK細胞の一部がクラスターを形成することを明らかにした。胸腺において、胸腺上皮細胞でIL-15Rα遺伝子が破壊されるFoxn1-Cre IL-15RαcKOマウスを解析し、胸腺上皮細胞由来のIL-15が2B4+ iNKT細胞の分化に重要であることを明らかにした。したがって、胸腺上皮細胞が、IL-15Rα鎖とIL-15を胸腺細胞にtranspresentationしていると考えられた。抗生剤をマウスに投与することで、腸管上皮細胞においてIL-7の産生が低下し、IL-15の産生が増加したことから、腸内細菌叢が腸管上皮細胞のサイトカイン産生を制御していることが明らかになった。肝臓において、肝細胞でIL-15遺伝子が破壊されるAlb-Cre IL-15cKOマウスを解析し、肝細胞由来のIL-15が1型自然リンパ球の維持に必要であるが、conventional NK細胞の維持には関与しないことを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
骨髄のIL-7については、自然リンパ球の分化についてほぼ結論が得られつつある。骨髄のIL-15については、NK細胞の一部がクラスターを形成することが明らかになった。腸管については、腸内細菌叢が腸管上皮細胞のサイトカイン産生を制御していることが明らかになった。肝臓については1型自然リンパ球が減少するという新たな結果が得られている。以上のことから、ほぼ満足できる達成度と判断した。
骨髄のIL-15については、Ltf-Creマウスを用いることで、血液細胞の中でも骨髄球系細胞が産生するIL-15が、NK細胞の分化、成熟、維持に重要かを検討する。胸腺のIL-15については、2B4+ iNKT細胞ががん細胞の転移の抑制に関与しているかどうかを、メラノーマ細胞の肺転移についてFoxn1-Cre IL-15cKOマウスを使って解析する。肝臓については、1型自然リンパ球とNK細胞の間で、肝臓内での局在や内皮細胞への接着の違いがないかを解析する。腸管上皮細胞におけるIL-7とIL-15の産生制御については、腸内細菌によるTLRシグナルの関与について解析を進めていく。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件) 備考 (2件)
Immunity
巻: 48 ページ: 286-298
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Sci. Rep.
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http://www.infront.kyoto-u.ac.jp/achievements/post-2986/
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