研究課題
サイトカインIL-15は、自然リンパ球、NK細胞、NKT細胞などの自然免疫系細胞の分化・成熟・維持に必須である。本研究は、独自に作製した細胞特異的IL-15遺伝子破壊マウスを用いて、骨髄、胸腺、肝臓において微小環境を構成する各細胞が産生するIL-15が、自然免疫系細胞の分化・成熟・維持において果たす機能を明らかにした。まず、骨髄において血液細胞特異的なVav-Cre IL-15 cKOマウスでNK細胞の分化が障害され、間葉系ストローマ細胞特異的なLepr-Cre IL-15 cKOマウスでは変化はなかった。また、免疫染色でNK細胞が樹状細胞やマクロファージとクラスターを作って存在していた。したがって、単球、好中球、樹状細胞、マクロファージが産生するIL-15がNK細胞の分化を担っていると考えられた。次に、胸腺上皮細胞特異的なFoxN1-Cre IL-15 cKOマウスの胸腺において、CD244+ iNKT細胞が減少することを見出した。CD244+ iNKT細胞はCD244－ iNKT細胞よりもIFN-γやグランザイムBの発現が高く、エフェクター機能が高いと考えられた。末梢組織を調べると、肺においてCD244+ iNKT細胞が多く存在していた。また、メラノーマ細胞の肺転移を調べると、FoxN1-Cre IL-15 cKOマウスでは転移巣が増加した。したがって、胸腺上皮細胞が産生するIL-15は特殊なCD244+ iNKT細胞の分化を支持し、肺における抗腫瘍応答を高めることが明らかになった。さらに、肝細胞特異的なAlb-Cre IL-15 cKOマウスの肝臓において、NK細胞は変化しないが１型自然リンパ球（ILC1）が減少していたことから、肝細胞が産生するIL-15がILC1の局所での維持に重要な働きをしていることが明らかとなった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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