研究課題/領域番号 |
16H05174
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
早坂 大輔 長崎大学, 感染症共同研究拠点, 准教授 (10346926)
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研究分担者 |
塩竈 和也 藤田医科大学, 医療科学部, 講師 (10387699)
西 弘大 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (10719496)
淵上 剛志 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (30432206)
ヌグエ・トン ミャ・ミャッ 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (90772583)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ウイルス感染 / 分子イメージング / マウス / PET / SPECT |
研究実績の概要 |
ダニ媒介性脳炎ウイルス(Sofjin株またはOshima株)をC57BL/6jマウスに皮下感染させ、感染5-9日、13日後において、123I-IMPを静脈内投与しSPECT撮像を行った。また、同様に感染マウスに18F-FDGを投与し、PET撮像を行った。その結果、Sofjin株およびOshima株いずれにおいても、脳における123I-IMPの取り込みが、非感染コントロールマウスにくらべて有意に上昇していた。一方、脳における18F-FDG取り込みは、ウイルス感染と非感染マウスにおいて有意な違いはみられなかった。また、感染13日目のOshima株感染マウスにみられた重症個体と軽症個体において、脳における18F-FDG取り込みには差がなかった。 ダニ媒介性脳炎ウイルスOshima株を、C57BL/6jマウスに経鼻感染させた後、18F-FDGを投与し肺のPETイメージングを試みた。しかしながら、肺における18F-FDGの顕著な取り込みは観察されなかった。 ウイルスに対する抗体をトレーサーとして分子イメージングに活用できる「抗体トレーサー」の確立を目指し、予備試験としてDTPA-IgGの111In標識、およびDTPA抗重症熱性血小板減少症候群ウイルス(SFTSV)-IgG合成を試みた。その結果、動物実験に用いることのできる高純度な111In-DTPA-IgGの合成に成功した。また、DTPAが2分子結合したと考えられるDTPA抗SFTSV-IgGが得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、ダニ媒介性脳炎ウイルス、チクングニヤウイルス、日本脳炎ウイルス、ジカウイルス、デングウイルス、トフラウイルス、SFTSウイルスを感染させたマウスを用いて、分子イメージング撮像を実施してきた。また、それぞれのウイルスに対するモノクローナルIgG抗体を準備する一方、111In-DTPAをIgGに標識する方法を確立してきた。 一方、予定していたウイルスの一部が準備できなかったり、SPECT装置に故障が発生し修理に時間を要したため、ウイルス感染動物のSPECTイメージングが予定通り遂行できなかったが、他のウイルスを用いたり、次年度に予定していた実験を先行して行ったため、研究進捗状況はおおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
得られたDTPA抗SFTSV-IgG抗体を用いた111In標識抗体を合成し,SFTSウイルス感染マウスおよび非感染マウスへの体内放射能分布実験を行うことで,感染後の体内動態の比較を行う。また、他のウイルスに対するIgG抗体を用いて同様に111In標識し、各ウイルス感染マウスにおける分子イメージングを実施する。 ダニ媒介性脳炎ウイルス、トフラウイルス、SFTSウイルス感染マウスのFDGを用いたPETイメージングで観察された、腸管特異的なFDG集積と病態の関係を調べるために、感染マウスの腸管の免疫病理解析、糖代謝等の遺伝子発現解析(次世代シーケンサー等を用いる)を行う。 また、これまで得られた実験結果を基に、学術論文への投稿、発表を行う。
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