研究課題/領域番号 |
16H05177
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
山崎 小百合 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (70567255)
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研究分担者 |
小田中 瑞夕 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (00510281)
大倉 永也 大阪大学, 医学系研究科, 特任教授(常勤) (20300949)
今井 優樹 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (30440936)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 制御性T細胞 / 樹状細胞 |
研究実績の概要 |
制御性T細胞は、ヒトやマウスの末梢に存在する様々な免疫反応を抑制する重要な細胞で、IL-2 receptor-a chain (CD25)とFoxp3転写因子を発現し、末梢CD4+リンパ球の約5-10%を占めている。定常状態ではアナジーで増えないと考えられていた制御性T細胞が「樹状細胞により増える」事を私たちは世界に先駆けて発見した。樹状細胞はプロフェッショナルな抗原提示細胞であり、ナイーブなT細胞に抗原提示ができる唯一の細胞である。さらに、樹状細胞で増えた制御性T細胞が「自己免疫や移植片拒絶のみを特異的に抑制できる事もマウスのモデルを使用して見出した。本研究では、これらの成果に基づき、自己免疫などの好ましくない免疫反応のみを抑える制御性T細胞療法の開発を目指して、ヒトの細胞を使用する。初年度である本年度は、ヒトの末梢血液から制御性T細胞、樹状細胞の採取方法を検討した。さらに、採取したヒトの末梢血液から制御性T細胞、樹状細胞をともに培養し、増殖の検討を行った。重篤感染症や発癌を誘因しない安全な免疫抑制療法の開発が、増加する自己免疫疾患、移植、アレルギーの治療に世界的に求められている。本研究で日本発の安全で有効な制御性T細胞療法の開発に貢献する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、ヒトの末梢血液から単核球を分離し、制御性T細胞、樹状細胞を採取する条件を検討した。制御性T細胞の誘導は、CD4, Live dead, CD45RA, CD127, CD25と 制御性T細胞特異的な転写因子であるFoxp3を同時に多色で染色し、flowcytometerで解析を行った。これらのマーカーを使用することで、抑制機能のある真のFoxp3陽性制御性T細胞と、抑制機能のないFoxp3陽性T細胞を区別することができると報告されている。樹状細胞も、当初はflowcytometerでsortingし末梢血液から直接採取する方法を使用したが、細胞の数や生存率に問題があったため、CD14+monocyteからGM-CSF+IL-4で培養で誘導する方法に切り替えた。さらに採取した制御性T細胞、樹状細胞ををともに培養し、条件検討を行い、制御性T細胞の増速に至適な条件を検討することができた。以上より、本年度は新しい教室のセットアップも行いつつ、ヒトの細胞の培養に適した設備備品を整えることができ、条件も設定することができた。順調に進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
重篤感染症や発癌を誘因しない安全な免疫抑制療法の開発をめざし、本研究で日本発の安全で有効な制御性T細胞療法の開発に貢献することを目的としている。そのために初年度に決定することができた条件を使用し、次年度は増殖したヒト制御性T細胞の抗原特異性を試験管内のsuppression assayにおいて確認する。ヒトの制御性T細胞による試験管内のsuppression assayの条件をアロのmixled leukocyte reactionにおいて現在検討中である。さらには、増殖した制御性T細胞の様々な表現型の解析、TCRレパトア解析、制御性T細胞特異的なエピゲノム解析、ヒト化マウスを利用した生体内における抑制機能の解析を行う計画である。これまでマウスの制御性T細胞で確立してきたことをヒトの細胞に応用し、将来の制御性T細胞療法に貢献を目指す。
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